いまやデジタルトランスフォーメーション(DX)は、仕事の効率を上げたり従業員の負担を減らしたりするのに欠かせない存在となっています。
そのDXを促進している企業を認定する「DX認定制度」というものがあることをご存じですか?
今回はDX認定制度がどういうものなのか、どうやって取得できるのかを紹介していきたいと思います。
DX認定制度とは、2020年5月に施行された「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律」に基づき、DXに対する取り組みを行っている企業を認定する制度です。
日本のDXを促進するために作られた制度で、認定を受けた企業はDXの取り組みを積極的に行っていることをアピールすることができます。
独立行政法人情報処理推進機構(通称IPA)がDX認定制度事務局として、各種相談・問い合わせ対応・認定審査事務を行っています。
認定自体は経済産業省が行います。
DX認定制度が施行されたのは、日本のDXへの取り組みが遅れているという背景があったからです。
2018年に発表したDXレポートにおいて、経済省は「このままDXが進まなかったら、2025年以降に年間最大約12兆円もの経済損失が生じる」と警鐘を鳴らしたことがきっかけです。
また、2019年に行われた海外と日本のDXへの取り組みを比べるアンケートによると、アメリカはシンガポールでは90%を超えているのに対し、日本は約44%しかありませんでした。
このように、海外と比べDXの取り組みが遅れており、このままでは経済的に遅れをとってしまう恐れもあったため、DXの促進を行うためにDX認定制度が施行されたのです。
DX認定を取得するとどんなメリットがあるのか気になりますよね。
ここで確認していきましょう。
デメリットも紹介しておこうと思います。
DX認定を受けるためには、「デジタルガバナンス・コード」という認定基準をクリアする必要があります。
基準をクリアするために、DXを促進するためのビジネスモデルの設計や自己診断、課題の把握などを行うため、自社の現状や課題を把握して改善していくきっかけになります。
これにより、今まで見えていなかった課題を見つけていくことができ、社内環境をよりよくすることができます。
DX認定を受けると、DX認定のロゴマークを使用することができます。
これにより、「DXに積極的に取り組んでいる会社」ということをアピールできるので、企業価値やイメージの向上に繋がります。
DXを進めているということは働きやすい環境が整っているというイメージにも繋がるので、求人応募者の増加にも影響を与えてくれるでしょう。
中小企業であれば、金利優遇などを受けることができます。
設備投資に必要な資金を通常より低い金利で受けられたり、情報システムを良好な状態に維持するために必要な設備投資について、民間金融機関から融資を受ける際に普通保険とは別枠で追加保証や保証枠の拡大をしてもらったりすることができます。
DX認定を受けることで、DX投資促進税制の税額控除を受けることができます。
こちらは、デジタル関連投資に対して3%または5%の税額控除、もしくは特別償却30%が可能になります。
人材開発支援助成金の要件を満たすことができるため、デジタル人材の訓練経費・訓練期間中の賃金の一部(最大960円/時間)の助成を受けることができます。
これにより、社内にデジタル人材を増やしやすくなり、DXへの取り組みをもっと促進することができます。
社内でDXを取り入れるとなると、新しくシステムを導入したり知識のあるエンジニアを雇って自社運用できるようにしたりと、様々な面でコストがかかってきます。
そのため、どんな課題があって何で改善できるかを最初に明確化し、実現にためにある程度資金を貯めておく必要があります。
DXの取り組みは、すぐに結果が出るものではありません。
PDCAを回していくことで、効率化に繋がっていくものなので、じっくり育てていくものという認識で取り組みましょう。
DX認定を受けるための条件を確認していきましょう。
申請対象者は、全ての事業者(会社の場合は法人だけでなく公益法人も含む)です。
一年を通していつでも申請をすることができます。
なお、認定期間は適用日から2年間です。
更新する場合は、有効期限の60日前までに更新申請を行う必要があります。
費用は一切かかりません。
誰でも好きな時に申請できて費用もかからないので、DXの準備ができたらぜひ申請してみてくださいね♪
経済産業省は、DX推進状況を「DX-Ready以前」「DX-Ready」「DX-Emerging」「DX-Excellent」の4段階に分け、「DX-Ready」段階にいる事業者をDX認定しています。
それぞれの段階についてみていきましょう
DXを取り入れるためのビジョン策定・体制の整備などにこれから取り組む事業者。
DXの進捗状況や自己診断などを行ってDXに取り組むための環境を整える前の段階にいます。
ビジョンの策定や体制の整備を既に開始しており、デジタルガバナンスを向上していく準備が整っている事業者。
この段階まで来ているとDX認定されます。
認定事業者の中でもステークホルダーとの対話を積極的に行っており、将来性がある事業者。
この段階にある企業は、DX推進の仕組みが社内にあり、優秀なでデジタル活用の実績がある企業であることを示す「DX銘柄」に選ばれる可能性もあります。
上場企業の場合は「DX銘柄」で、中堅・中小企業の場合は「DX Selection」になります。
認定事業者の中でもステークホルダーとの対話を積極的に行っており、将来性があるとともに優れたデジタル活用実績が既にある事業者。
こちらもDX-Excellentと同様、DX銘柄かDX Selectionに選定される可能性があります。
DX認定を受けるためには、DX-Readyの段階まで進む必要があることを覚えておきましょう。
簡単に説明すると、申請書をwebサイトで申請します。
申請書は以下の8つの設問で構成されています。
➀企業経営の方向性及び情報処理技術の活用の方向性の決定
➁企業経営及び情報処理技術の活用の具体的な方策の決定
(1)戦略を効果的に進めるための体制の提示
(2)最新の情報処理技術を活用するための環境整備の具体的方策の提示
③戦略の達成状況に係る指標の決定
④実務執行総括責任者による効果的な戦略の推進等を図るために必要な情報発信
⑤実務執行総括責任者が主導的な役割を果たすことによる事業者が利用する情報処理システムにおける課題の把握
⑥サイバーセキュリティに関する対策の的確な策定及び実施
流れを詳しく説明していきたいと思います。
➀「申請のガイダンス」を参考に、自社が申請要件を満たしているか確認する
➁IPAのHPから「認定申請書」と「申請チェックシート」をダウンロードする
③「認定申請書」と「申請チェックシート」の設問に答える
④必要に応じて補足事項を準備する(現状把握や戦略に関する資料など)
⑤「DX推進ポータル」という申請用のwebサイトにアクセスして申請する(DX推進ポータルの利用にはgBizIDが必要です)
⑥gBizIDを取得していない場合は、こちらから新規IDを取得する
⑦ログインしたら、メニューの中から「DX認定制度」の「申請・届出を行う」をクリック
⑧申請書等を申請する
⑨事務局からのメールで認定結果を受け取る
Webサイトで申請できるので、場所や時間に関係なく申請できるというメリットがあります。
今回は、DX認定制度についての基礎情報を解説しました。
DXの取り組みは今後も重要になっていく要素なので、今から社内で推進してくことをおすすめします。
DX認定制度は無料で申請できるという点も大きなメリットなので、ぜひ準備が整ったら申請していってほしいです。
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