転職が当たり前になった近年では、若者の離職率も高まっています。
最近は退職代行サービスも増えてきており、気軽に辞めやすい環境が整っていることもあり、少しでも不満があると辞めてしまう若者もいます。
しかし、会社にとって将来的に活躍してくれる若手が辞めるのは大きな痛手です。
今回は、若者の早期退職、離職の原因や実態を知り、防ぐための方法を勉強していきましょう!
若者の離職率は、年々増加しています。
厚生労働省が発表したデータによると、2021年度の大学卒・就職後3年以内の離職率は34.9%で、過去15年で最高水準に達したそうです。
急激に増加したわけではありませんが、着実に離職率が高くなっています。
産業別で見ると、2022年度では「宿泊業・飲食業」の離職率が他と比較してかなり多いようです。
しかし、その分入職率も一番多くなっています。
次いで「教育・学習支援業」、さらに「生活関連サービス業・娯楽業」の離職率が高い傾向にあります。
やはり、接客や人手不足の業種はストレスが多くなりやすいため、離職率も高いようです。
なんと、GW明けに仕事へのモチベーションが下がってしまい、若手の大量離職につながる傾向があるようです。
退職代行サービス「モームリ」の発表によると、2025年5月7日、GW明けで既に267件の退職依頼が届いたそうです。
GW中に今までの悩みが一気に押し寄せてきて、「連休明けに会社に行きたくない」「辞めたい」という気持ちになる人が増えるようです。
メンタルクリニックの院長によると、「GW明けに辞める人が多いのは、GW直前までは疲れているため辞める気力も時間もないが、GWで休んだことで少し気持ちが回復し、辞める決断をするエネルギーが湧いてくるから。」だそうです。
では、離職の理由はなんなのでしょうか。
誰しも、今の会社に何か不満があるから辞めてしまいます。
辞める理由は人それぞれですが、離職の原因となる大まかな理由はどの会社でも共通するので、この記事で確認して自社の環境を思い返してみましょう。
ここでは、オープンワークとdodaで集計された離職理由のランキングを上位4位までそれぞれ紹介します。
オープンワークでは、「3年以内に辞めたZ世代の離職理由」を発表しています。
Z世代でも、会社のブランドや成長性を見据えて入社する人が多いようですが、入社してみたら「仕事内容が単調で面白くない」「ここでは成長できない」と感じて離職する人が多いようです。
今の若者は、成長性ややりがいを感じられる仕事を求めていることが分かります。
Dodaでは、年齢別で離職理由ランキングを発表しています。
今回は若手の離職についてなので、20代と30代の離職理由ランキングを見ていきましょう。
こちらのランキングでは、「給料が低くこのままでは将来が不安」「同じスキルでもっと給料がもらえるところで働きたい」という理由が多いようです。
やはり、家族や老後のことを考えると、満足のいく給料をもらえる会社の方がいいと考える人が多いようです。
後は、人間関係や労働時間など、職場環境への不満により辞める人も多いです。
30代も、20代とそこまで変わらない理由で離職を考えているようです。
30代は、20代よりもさらに将来のことを考える年代なので、給料や労働環境に意識を向ける機会が多いと考えられます。
若者の離職を防ぐために、企業はどのような対策をしていけばいいのでしょうか。
若者の早期離職を防ぐための対策方法をここで知っていきましょう。
求人に載せる情報や会社説明会などで、会社のいい部分だけをアピールしてしまうと、入社後にミスマッチが起きやすくなります。
採用段階で、社内環境や実際の働き方、残業の有無などのミスマッチが起こりやすい部分の提示を行い、理解を得た上で採用を進めていきましょう。
デメリットになり得部分もちゃんと伝えることで、求職者が理解した状態で採用できるため、ミスマッチによる離職を防ぐことができます。
悩みや不満が発生した時に、気軽に相談できる機会を定期的に設けるようにしましょう。
若手社員は社会人経験が少ないので、軽いミスなどの些細なことでも悩んで抱え込んでしまう場合があります。
そんな時に上司や先輩に相談できる機会があれば、心の負担を減らして会社への安心感を高めることができます。
定期的に1on1の機会を設けるなど、若手人材が気軽に相談できる環境を整えましょう。
従業員が成果を上げたら、すぐに褒めてモチベーションが高まるように声掛けを行いましょう。
やはり、努力を素直に認めて褒めてくれる上司や先輩がいたら嬉しいですし、心理的距離感も近づきます。
加えて、成果をしっかり評価して給料に反映させましょう。
自分の頑張りが給料などで形になれば「頑張った分評価につなげてくれる会社なんだ」という認識ができ、やる気につながります。
会社への信頼度も高まります。
近年は、ハイブリッドワークや在宅ワーク、フレックスタイム制など、自由でストレスの少ない働き方を取り入れている会社も増えています。
社内にいなくても働ける職種の場合は、在宅ワークができて育児や介護中でも家にいながら働くことができます。
これにより、ライフイベントの発生で退職する必要がなくなり、早期離職を防ぐことができます。
年齢や性別によって、今後のキャリアプランは異なります。
「どんな将来を送りたいか」「仕事でどんなポジションについていたいか」「どんな仕事をしていきたいか」など、従業員それぞれのキャリアプランを聞き出し、それに合った目標を立てるサポートを行いましょう。
従業員が働くうえで何を重要視しているのかを把握することで、会社に足りない部分や従業員が求めているものを把握することができます。
必要なスキルを得るために研修を勧めたり、場合によっては部署移動を提案したり、従業員が目指すキャリアプランを実現できるようにサポートしましょう。
どんなことを実施しているのか、ここで確認して参考にしていきましょう。
サイボウズは、離職率を28%から4%まで激減させた会社です。
昔は長時間労働や残業が当たり前の昭和企業でした。
しかし、離職率28%と人材定着率に課題があったため、事業整理と同時に「従業員の選択肢を増やす」という施策を始めたようです。
まずは、短時間勤務・週3勤務・リモートワークなどの好きな働き方を選べる「ウルトラワーク制度」を導入しました。
加えて、子供と一緒に出勤できる制度や最大6年の育児休暇制度の導入で、女性の出産や育児が離職のきっかけにならないような制度も整えています。
社内のやりがいサポートとしては、自主参加できる勉強会ポータルの立ち上げ、社内部活動手当、社内で仕事について語れる「仕事Bar」の設立など、従業員がやりがいをもって働ける環境を整えています。
このような取り組みにより、離職率は4%まで減少し、売上は年々増加しています。
株式会社ジオコードでは、ユニークな福利厚生が特徴です。
福利厚生が充実している会社こそ魅力的な会社ではないかと考え、1年に数回福利厚生の改善や導入を行っているようです。
毎年社員から社内制度の意見やアイデアを募り、集まった意見をそのまま採用したり、調整したりしてオリジナルの福利厚生制度ができているそうです。
20分間の休憩とともに日替わりで軽食が支給される「無料軽食制度」
日本代表の試合日時、結果に合わせて前日や当日が臨時休暇になり、予選突破で2日間の休暇が与えられる「サッカー休暇制度」
8月の夏季休暇以外に6月7月に6日の休暇が成績によって取得できる「エンドレスサマー制度」
このように、他社にはない独自の福利厚生を増やしていくことで、モチベーションアップにも企業のアピールポイントにもつながります。
大阪を拠点に調剤薬局を6店舗経営している会社である「M’sファーマ株式会社」では、薬剤師の離職率が50%と人材定着にかなりの課題がありました。
薬剤師はどこに行っても需要がある職業なので、平均離職率は20%とかなり高いですが、M’sファーマ株式会社の展開エリアはどこも交通機関が整っていない場所が多いということもあり、採用に苦戦していました。
そこで、食事補助サービスである「チケットレストラン」を導入しました。
チケットレストランは、全国展開しているコンビニやカフェ、レストランなどで利用でき、食事代の半分を負担してくれるものです。
調剤薬局業界では、まだこのような福利厚生を導入している企業がなかったこともあり、採用活動でもアピールポイントの一つとなり、他社との差別化に貢献してくれました。
これにより、離職率が10%まで減少したようです。
このように、企業はそれぞれ従業員を定着させるための制度の導入を積極的に行っています。
「どんな制度が必要なのか分からない」という場合は、ジオコードのように社員にアンケートを取ってほしい制度を聞き出すのが一番成功への近道でしょう。
まずは、社内環境を変えるための行動を進めていきましょう!
若手の離職率が高いということは、社内環境や制度に不満があるということです。
どこにどんな課題があるかを明確にし、改善方法を丁寧に紐解いていきましょう。
そのためには、従業員の意見を取り入れることが重要です。
1on1などで不満に思うことや意見を聞き、改善するためのアイデアを会社全体で考えていきましょう。