“エコシステム”は「生態系」を表す言葉ですが、近年ビジネスでも使われるようになっています。
ビジネス上でのエコシステムとはどういうものか、取り入れるメリットはなんなのかなど、解説していきたいと思います。
「エコシステム」は生物学上で使われてきた言葉です。
特定の地域に生息する生物はそれぞれ生産者・消費者・分解者となってお互いを必要としながら依存しながら生活しています。
この生態系の仕組みを「エコシステム」というのです。
この仕組みをビジネスに応用して、業界・製品・サービスが連携し、大きな収益を生み出す構造のことを「ビジネスのエコシステム」と表現しているのです。
企業内のデータを、外部の協業先組織や協業先以外の組織のデータと掛け合わせ、新たなビジネスモデルを創り出すものです。
データエコシステムの大きなポイントは、より幅広い企業間でデータを共有・流通させることです。
それは、IoT機器などから収集されるIoTデータだけでなく、交通情報など人々の活動から収集される非IoTデータも含まれています。
それぞれの企業がデータ連携を行うためのAPIを公開することで、サービス同士で協業・連携ができるものです。
API連携を行っているサービスは多く、それをすることでサービスを導入した時に使える機能が増えるため、顧客満足度を高めることができます。
ビジネスにおいて、エコシステムが必要とされるようになったのはなぜでしょうか。
理由を見ていきましょう。
様々な企業が様々な分野に進出できる現代において、飽和状態になっている市場は多いです。
そんな中でもユーザーのニーズを満たし、新しいものを創り出していくためには、業種・業界を超えた企業同士の協力が必要不可欠になっています。
今は企業同士で連携することが当たり前になってきているため、そこから「エコシステム」という言葉が生まれました。
様々なサービスが生まれる中で消費者の価値観も多様化してきており、価格などの表面的部分だけでなく「消費者価値」が重要視されるようになっています。
そんな中で、企業同士が連携して、一つのサービスの中でできることを増やしていくことで、それが価値に繋がるようになってきているのです。
ICTの発展により、今までは企業独自で非公開にしていたシステムを標準規格に置き換える技術が発展しました。
前述したAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)もオープン化により生まれた技術です。
コスト削減や拡張性が高まるなどの理由からオープン化が広まってきているのです。
ICTの発展や市場の成熟によって企業同士の連携が重要になり、そこからエコシステムという構造が出来上がったんですね。
他社と連携することで、各企業がそれぞれの顧客に宣伝するため認知してくれる顧客の母体数が増え、結果的にそれぞれの企業の製品・サービスの認知度が上がります。
今まで獲得できていなかった顧客とも接点を持つことができるため、新しい層の顧客獲得にも繋がります。
エコシステムの導入で他社の技術や製品を活用できるようになることで、新しいアイデアが生まれやすくなると共にそのプロセスも短縮することができます。
社外の技術や資源を借りることで新たな製品・サービスを生み出しやすくなることは、エコシステムの最大のメリットと言えるでしょう。
自社だけでは資金や技術面で実現できなかった大規模なビジネスも、他社と協力することでまとまった資金を用意でき、実現に向かうことができるでしょう。
エコシステムは、企業同士が協業するメリットを各自受けられなければ継続していけません。
どの企業も利益のために行っていることなので、メリットがなければ協業から離脱する企業も出てくるでしょう。
そうなると、エコシステムは破綻してしまいます。
自社や顧客だけに意識を向けるのではなく、協力してくれる企業の利益も考えてインセンティブ設計を行うことが重要です。
マクロ環境とは、経済・技術・政治・社会環境などの組織に影響をもたらす環境のことです。
新しい規制が生まれたり、取って代わるような技術が生まれることでエコシステムが機能しなくなる可能性があります。
スマートスピーカーは、今や生活の一部となっている人も多いでしょう。
スマートスピーカーはそれ単体ではあまり効果を発揮せず、家電や音楽サービスなど様々な製品やサービスと連携しているからこそ私たちの生活を豊かにしてくれています。
そこに参加する企業は、Google homeに関する技術やデータ共有、顧客の拡大という恩恵を受けています。
スマートスピーカーの利用ユーザーが増えているため、スマートスピーカー対応にすることで購入してもらえるという場合もあるでしょう。
Salesforceは顧客管理・営業支援を行うクラウドサービスです。
様々な企業の業務改善ツールをAPI連携しているため、機能の拡張性や管理のしやすさを高めています。
他サービスとデータを共有しながら利用できるため、一つ一つツールを導入してデータを打ち込む手間がなくなり業務効率アップにも繋がっています。
参加する企業も、見込み顧客の獲得に繋がったり、AppExchangeというアプリマーケットプレイスでアプリをダウンロードしてもらう機会を得たりしています。
セールスフォースの利用社数は15万社以上なので、連携できるようにしておいた方がいいでしょう。
セールスフォースについて、詳しくはこちらで説明しているので一緒にご覧ください♪
YouTubeは、動画配信者・視聴者・広告主の間でエコシステムを導入しており、この3者が直接繋がることでお互いに利益を得られるような構造になっています。
動画配信者→一般人であっても気軽に動画投稿できる。
視聴者→ただで動画を見られて、他視聴者と交流できる
広告主→見込み顧客に動画による宣伝を打つことができる
動画検索のしやすさやシンプルさも、利用社数が増えた要因といえます。
楽天が運営するECサイト上で他社の製品を売り、エコシステムを構築しています。
楽天ポイント付与や楽天経済圏の利用で、ユーザーがお得に買い物や光熱費の支払いができるような仕組みになっています。
参加している企業も、楽天ユーザーからの認知度を上げ、見込み顧客の獲得ができています。
エコシステムは、これから企業が成長していくために必要不可欠となるものです。
協力することで増えるものは多いですが、減るものは少ないです。
お互いの技術や製品を活用して新たなサービスを生み出すためにも、エコシステムをうまく利用してニーズの高いものを提供していきましょう!