会社を立ち上げる、会社を大きくするというタイミングで、顧問弁護士の雇用を検討する方も多いと思います。
しかし、顧問弁護士がどんな存在なのか、しっかり理解していないと安心して雇えませんよね。
この記事では、顧問弁護士とはどういう役割があるのか、雇用する際の費用相場はどのくらいなのかなど、顧問弁護士に関する基本情報を紹介していきたいと思います。
ぜひ参考にしてください。
顧問弁護士とは、その企業の法律顧問として、会社で法律問題が起こっていないか、事業に問題がないかを日々確認し、どうしたらもっと強いビジネスになるかを一緒に考え、万が一トラブルが発生したら解決のためのアドバイスや手続きを行ってくれる専属の弁護士のことです。
日頃から会社のことを見ていてくれるため、相談やトラブルにも親身に対応してくれますし、会社の体制に最も合ったアドバイスをしてくれます。
月額料金を支払うことで平時の相談事や書面のチェックなどを行ってくれます。
会社で起こる問題や相談事を引き受けてサポートしてくれるため、経営者は経営面に集中できます。
大企業で雇われているイメージが強いと思いますが、最近フリーランスが増えてきていることもあり、個人事業主が顧問弁護士を雇うケースも増えてきています。
顧問弁護士はその会社を日々見守っており、問題が発生する前にアドバイスをくれるなど、常日頃から会社をサポートしてくれます。
一方、普通の弁護士は依頼者からスポットで依頼を受け、問題を解決します。
そのため、依頼者は問題が発生してから弁護士に相談するケースがほとんどです。
普通の弁護士に依頼する場合、その時の問題解決に尽力してくれそうな弁護士を探して依頼をし、問題内容を説明して解決に動いてもらうという流れが発生します。
問題解決までに時間を要するため、それまでに問題が悪化したり解決までにかなりの時間がかかったりする恐れがあります。
会社では日々さまざまな問題が発生するので、問題をスムーズに解決するためにも顧問弁護士を雇うことをおすすめします。
顧問弁護士の役割は、大きく分けて4つあります。
詳しく見ていきましょう。
顧問弁護士は、法律に関するものはもちろん、経営に関する相談にも乗ってくれます。
など、経営や法律に関して気軽に相談できるため、経営者は安心して会社を営んでいけます。
顧問弁護士は、会社の体制を整備しリスク回避を行います。
労働基準法・特定商取引法・景品表示法・商標法・特許法など、会社の経営に関する法律はたくさんあります。
これらの法律を違反しないような体制に整備していかないと、会社を長く続けていくことは難しいです。
そこで、さまざまな法律に詳しい顧問弁護士が会社の体制を把握し、徐々に法律に合うように整備するという役割があるのです。
就業規則等は、作成されてから時間が経っていると現在の法律の基準を満たしていない可能性があります。
顧問弁護士がいればそのようなリスクも回避できるので、安全な職場環境を保てるのです。
顧問弁護士は常日頃から会社の状況を法律の面から把握してくれているため、問題が発生する前にリスク回避の提案をしてくれます。
どんなことが違法になるのか、経営方針で法に触れる部分はないかなど、法的リスクの把握を顧問弁護士に泣かせることで、健康経営が実現できます。
会社経営では、さまざまな角度からトラブルが発生します。
取引先からの未払い、消費者からのクレーム、従業員からの訴訟など、万が一トラブルが発生した場合は顧問弁護士が法律に基づいた迅速な対応を行ってくれます。
売掛金の回収、従業員との話し合いによる解決、訴訟対応など、経営者と相談しながら会社に不利が生じないように対応してくれます。
加えて、今後の方針内容やマスコミへの説明の仕方、法的にどう対処すればいいのかなどの相談にも乗ってくれます。
顧問弁護士は会社のための法律専門家として、経営者の理解ある相談相手になってくれるんだ!
法律は細かくてたくさんの規定があるから、それらをすべて把握して迅速に対処してくれる存在がいることは、かなりの安心感につながるよね♪
顧問弁護士の仕事内容は多岐にわたります。
など、法律や経営に関する多くの業務を行います。
顧問弁護士のアドバイスが経営方針に大きな影響を与えることもあるため、会社経営に関する知識も持っている弁護士を雇うのがベストです。
顧問弁護士を雇うメリットはたくさんあるので、確認していきましょう。
またデメリットもあるので要チェックです!
普通の弁護士は、トラブルが起きた時のみ対応してくれます。
その際も毎回予約をして法律事務所に訪問する必要があり、相談して解決するまでに時間がかかります。
そのため、日常的なちょっとした相談をする機会はほとんどありません。
一方、顧問弁護士は会社の専属弁護士として常に会社の経営や法律を把握しているため、日常的なちょっとした相談にも乗ってくれます。
予約の必要もないため、社内トラブル発生リスクを下げることにつながります。
顧問弁護士が社内の経営状況を把握し、法律を守れているか常にチェックしてくれるため、トラブル発生の回避や対応策の助言をしてくれます。
法に精通していないと気づけない部分を補ってくれるので、トラブル発生率を下げて安定した経営ができます。
また、法改正などの最新情報を教えてくれるため、新しい法律に合わせた就業規則等を作成できて社内のコンプライアンスを高く保てます。
顧問弁護士がいない場合、問題が発生してから弁護士に依頼する形になるため、問題解決までにかなりの時間を要してしまいます。
しかし、顧問弁護士がいれば問題が起きた時にすぐ相談できますし、日ごろから会社の状況を把握しているため会社の経営方針に合った解決策を提示してくれます。
予約なども必要なくすぐに相談できるので、問題解決までにかかる時間が短いです。
顧問弁護士は委任関係にある会社の弁護を優先的に対応するため、契約を結んでいない会社よりも先に相談を受けてくれます。
これも、問題解決までの時間短縮につながります。
社内に法務部を設置するのは大きな負担がかかります。
新しい部署の設置費用や人件費がかかり、法に精通した優秀な人材雇うには時間もかかります。
そこから規則をつくり、法務部の機能を維持していくのも一苦労です。
それを考えると、法務部を作る代わりに顧問弁護士を雇ってしまった方が低コストといえるでしょう。
法律や契約など複雑で難しい分野は顧問弁護士に任せてしまえば、経営者は経営に集中できます。
法律のことを一から勉強するには時間がかかりすぎますし、経営者にそんな暇はないですよね。
難しい部分は専門家に任せることで、経営者がやらなければいけないコア業務に意識を向けることができます。
そうすることで、健康経営を実現できます。
顧問弁護士を雇うと、毎月一定額の支払いが発生します。
ランニングコストはかかってしまいますが、経営や法律に関して幅広く相談できる相手がいるというのは会社にとってメリットが大きいため、長期的に見ればコストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。
ただし、コストがかかる分、顧問弁護士を上手く活用していく必要があります。
日本弁護士連合会の調査によると、中小企業との顧問契約費用の相場は月3~5万円です。
中でも、顧問契約費用を5万円に設定している弁護士事務所が半数ほどいるようですが、これは日本弁護士連合会が長らく「顧問料は5万円以上」という規定を定めていたためです。
この規定は平成16年に撤廃されたものの、昔の名残で5万円に設定しているところが多いようです。
大企業の場合は月15万円以上、個人事業主の場合は月1~3万円ほどが相場です。
会社の規模に合わせていくつかのプランを用意しているところもあります。
金額が安いとその分相談可能時間や業務範囲も狭くなるので、企業の規模に合わせてプランを選びましょう。
毎月の顧問料で行ってくれる業務は以下のものです。
顧問料に含まれない依頼については、別途費用がかかるのでご注意ください。
では、顧問契約以外の業務の例を見ていきましょう。
それにかかる費用も紹介するので、参考にしてください。
契約書や催告書などの書類作成を顧問弁護士に依頼する場合、別途費用がかかります。
費用は契約書の内容や規模によって変わるようですが、基本的に顧問契約がある場合は5万円前後かかります。
一方、顧問契約がないと10万円前後かかるので、契約をしていれば通常の半額に抑えられます。
取引先から売掛金が未回収になっているトラブルが発生しますが、顧問弁護士に依頼すれば代わりに回収してくれます。
その場合、着手金と報酬金の二つが発生します。
費用は顧問契約ありで着手金が50万円前後、報酬金が100~150万円です。
顧問契約なしの場合、着手金が50~100万円、報酬金が200万円前後になるので、かなりお得です。
労働事件とは、不当労働行為をめぐって企業と従業員が争うことを言います。
労働事件の対処や手続きなどを顧問弁護士に依頼する場合も別途費用がかかります。
顧問契約がある場合、着手金、報酬金ともに20~30万円です。
顧問契約がない場合、着手金が30万円前後、報酬金が30~50万円です。
このように、月額の顧問料だけですべてを補えるわけではありません。
タイムチャージ制とは、毎月の顧問弁護士の対応時間に応じて顧問料が計算される仕組みのことです。
顧問弁護士への依頼が発生しなかった月は報酬を支払わなくていいので、顧問料を抑えることができます。
弁護士に相談する場面が少ない企業にはおすすめです。
ただし、固定報酬制よりも費用が高く設定されているため、同じ業務量を依頼した場合でもタイムチャージ制の方が高額になる場合があります。
弁護士への依頼を頻繁に行う場合は、固定報酬制の方が安くすむこともあるので把握しておきましょう。
法律事務所によっては、個人事業主から大企業まで、会社の規模に合わせてプランを用意しているところがあります。
顧問費用が安いほど、任せられる業務範囲も狭くなるので注意してください。
また、上記でも説明したように、別途費用がかかるケースも多いので、プラン内容をしっかり確認し、他社と比較しながら一番お得な事務所と契約しましょう。
弁護士事務所によっては、顧問弁護士を利用しなかった月の顧問料を積み立ててくれるところがあります。
のちに発生する法的トラブルの弁護士費用として利用できるので、費用を抑えながら顧問弁護士を雇うことができます。
顧問料が無駄になること防げるので、弁護士を活用する機会が少ない企業におすすめです。
顧問弁護士は、会社の健康経営や万が一の法的トラブルを迅速に解決するために必要な存在です。
さまざまな相談ができるため、安心して会社経営をしていけます。
会社の規模に限らず、顧問弁護士との契約を検討してみてください。