【初心者必見】リスキリングはなぜ注目されている?リスキリングのメリットデメリットや学ぶべきスキルなど解説

以前は、一つの会社で長く勤めて65歳で定年を迎え、年金をもらいながら余生を満喫するという人生の流れがありました。

しかし、現在は先が読めません。

 

人生100年時代と言われ年金も保障されず、終身雇用の崩壊により大手企業でも安心できないと言われています。

 

そんな時代では、自分のスキルを高めてより活躍できる企業へ転職をしていくのが当たり前となっています。

今回は、今注目されている「リスキリング」を紹介していきたいと思います。

 

リスキリングとは

リスキリングとは、企業に所属している従業員に対し、新しい分野で活躍できるようなスキルや知識を習得するために学び直してもらうことを言います。

 

企業を成長させるためにはIT技術の活用が不可欠であり、活用していくためにはそれらを取り扱うことができる人材が必要です。

従業員にそれらの技術を身に付けてもらうことで、企業は新しい事業を展開できますし、従業員は新しいスキルを手に入れることができモチベーションに繋がるなど、リスキリングは企業にも従業員にも有益なものなのです。

 

企業主導ではありますが、強制ではなくあくまで従業員個人が自主的に行うものであることが前提です。

 

リカレントとの違い

リスキリングとリカレントは似たもののように感じますが、どのような違いがあるのでしょうか。

リカレント教育とは、学校を卒業して就職した後に、また大学などの教育機関で一定期間学び、また就職をするというキャリアと学習を繰り返すことです。

リスキリングは企業に属しながら新しいスキルを習得するので、リカレントとは異なります。

 

また、リスキリングは企業主導で行う者であり、リカレントは個人主体で行うものという違いもあります。

 

スキルアップとの違い

リスキリングとスキルアップも似たような意味合いではありますが、違いはなんでしょう。

スキルアップは、今あるスキルを更に磨いていくことです。

リスキリングは、今はもっていない新しいスキルを学び直して習得することです。

 

注目されている背景

リスキリングが注目されているのは、DXの推進が一番の理由です。

 

AI・IoT・ビックデータ・クラウドなどのデジタル技術を用いた商品、サービスを作る企業が増えており、そういった技術を活用してモノを作るのが当たり前となってきています。

現在のニーズに合ったモノを作り、競合と差をつけるためにはデジタル技術に精通している人材が必要不可欠になってきているのです。

 

IT人材を新しく雇うだけでは追いつけないので、各企業は社内でリスキリングを行い、IT人材を増やそうとしているのです。

 

企業がリスキリングを行うメリット

リスキリングを行うメリットはどんなものがあるのでしょうか。

 

生産性が高まる

IT技術を持っている人材が増えれば、社内にIT技術を導入して作業効率を上げることができます。

属人化や手作業による非効率的な作業が減るため、生産性が上がり残業や休日出勤もなくなり従業員のワークライフバランスを整えることにも繋がります。

 

新規事業を立ち上げられる

IT技術がなければ進められなかった新規事業などを立ち上げることができます。

技術がないという理由で進められなかったプロジェクトを積極的に進めることができるので、時代のニーズに合わせた製品・サービス提供が可能になるのです。

IT人材を増やすことは、企業の成長に繋がるのです。

 

人材確保の手間が少なくて済む

次世代のニーズに応えるためにはIT人材の確保が必要不可欠ですが、高い専門性が必要なIT人材は常に不足しています。

リスキリングにより社内でIT人材を増やすことで、IT人材を採用する手間が省け、採用コストを削減することができます。

 

従業員のモチベーションアップに繋がる

企業主体で新しいスキル・知識を習得できるため、自分の市場価値を上げることができ従業員のモチベーションアップに繋がります。

もちろん、スキル学習はやらされるのではなく本人のやる気も関係してくるので、やる気がある社員がスキルを獲得してもっと社内で活躍してくれるようになるでしょう。

 

リスキリングのデメリット

リスキリングは企業に多くのメリットをもたらしますが、デメリットも存在します。

確認しておきましょう。

 

従業員が転職してしまう可能性

IT技術という多くの企業から求められるスキルを手にしたことで、せっかく育てた従業員が転職をしてしまう可能性があります。

 

阻止するためには、スキル獲得後の配属や待遇の見直しをしっかり行って、不満がでないようにする必要があります。

リスキリングは、スキルを習得させたら終わりというわけではないのです。

 

長期的に育てる必要がある

IT人材は短期間では育ちません。

勉強を続け資格を取得し、その後実際の業務に使えるレベルになるまで勉強を行い失敗と成功を繰り返していく必要があります。

リスキリングによる人材育成は、長期的に取り組む必要があることを知っておきましょう。

 

学習環境を整えるコストがかかる

IT技術は、基礎を学んだだけでは仕事をこなすことはできません。

仕事で使えるような技術を習得してもらうために、学習環境を整える必要があります。

専門スキルをもつ講師への依頼、資格取得支援、書籍購入支援、教材の提供、意欲を高める制度の確立など、リスティングを始める前に入念な準備を行う必要があります。

 

教育コストがそれなりにかかるため、なるべく多くの従業員に参加してもらうようにしましょう。

次の項目で、リスキリングをどのように行うのか流れを知っていきましょう。

 

リスキリングを行う6つのステップ

リスキリングを行うにはどんなステップを踏めばいいのでしょうか。

流れを見ていきましょう。

 

ステップ1.どんなスキルを習得させるか考える

リスキリングで習得してもらうスキルは、企業の特色や目的によって異なります。

まずは従業員のスキルを把握し、社内に不足している人材と目的達成に必要なスキルを洗い出しましょう。

 

リスキリングでよく学ばれているのは、

  • プログラミングスキル
  • マーケティングスキル
  • AI・IT関連スキル
  • データ分析スキル

などが挙げられます。

 

これらを参考に、企業で必要なスキルはなんなのかを考えましょう。

 

ステップ2.教育カリキュラムを考える

リスキリングするスキルが決まったら、その教育カリキュラムを考えます。

自社内で教育カリキュラムを構築するものいいですが、ノウハウがない場合時間もかかりますし何より実践に活かせるほどのスキル獲得に繋げられる内容にできるか不安です。

 

ノウハウがない場合は、外部の講師に依頼したり外部研修を利用しましょう。

外部のサービスを使う場合も、話を聞くだけでなく実際にやりながら学べるなど講師や研修の選定が重要です。

従業員が意欲を持って取り組めるカリキュラムを考えましょう。

 

ステップ3.学習環境を整える

上記でも言ったように、実践で使えるようなスキルを習得してもらうためには学習環境を整える必要があります。

ただオンライン研修に参加するだけではモチベーションが続かず参加者が減ってしまいます。

 

従業員がスキル獲得に積極的になれるように、資格取得やスキルアップの支援を行いましょう。

スキル関連の書籍を社内に置いて好きな時に見れるようにしたり、分からないところはすぐに専門知識をもつ講師などに質問できるなどの環境を整えることで、スキル獲得に貢献することができます。

従業員のモチベーションも保たれます。

 

ステップ4.リスキリングを実施する

ここまで準備が整ったら、実際にリスキリングを行いましょう。

リスキリングによる従業員にとってのメリット(支援や手当のこと等)を共有しておくことで、多くの従業員に参加してもらうことができます。

 

ステップ5.アンケートを実施し、改善を行いながら継続開催する

リスキリングを行ったら、内容や学習環境はどうだったかのアンケートをとりましょう。

匿名のアンケートを取ることで、次に実施するリスキリングをよりよいものにしていくことができます。

開催は1度だけでは意味がないので、アンケートを元に改善しながら繰り替えし開催しましょう。

 

ステップ6.取得したスキルを活用する場を設ける

リスキリングにより取得したスキルは、最終的に実践で使えるように定期的に活用できる場を設けましょう。

そのスキルを活用できる業務がある場合は、試験的にその業務を行ってもらいましょう。

まだそのような業務がない場合は、トライアルとしてスキルを活用できる業務を行ってもらいましょう。

 

 

どちらにしても、実践後は振り返りを行う時間を設けてください。
どの部分が上手くいってどの部分がなかなか解決しなかったのか、それが分かれば次に重点的に学習するべき箇所が明確になります。
実践と振り返りを繰り返すことで、より短いスパンでスキル習得ができます。

 

リスキリング=資格取得ではない

覚えておいて欲しいのは、リスキリングは資格取得がゴールではないということです。

 

リスキリングのゴールは、スキルを身に付け必要に応じて資格も取得し、実践で利用できるレベルのスキルを既存の従業員に獲得してもらうことです。

資格取得することが目的になってしまうと、取得後の目標が立っていないためその後の学習を怠ってしまい、折角取得したスキルが実践に活かせず宝の持ち腐れとなってしまいます。

 

「資格取得はあくまで通過点」と従業員に知ってもらい、資格取得後も勉強していく必要があることも理解してもらう必要があります。

それを知ってスキル獲得に臨んだ場合と知らなかった場合では、その後のモチベーションが大きく異なると思います。

 

リスキリングの事例

富士通株式会社

富士通は、2020年の経営方針説明において、「DX人材への進化&生産性の向上」を改革の1つとして掲げました。

 

社内DX施策の1つとして社員8万人のリスキリングを採用し、教育投資を4割増加したそうです。

社員は用意された中から興味のあるコースを自ら選ぶことができるため、モチベーションを持って学ぶことができます。

コースの数もどんどん増やしているようなので、リスキリングにより新しいスキルを習得する環境が整えられているようです。

 

AT&T

AT&Tは、アメリカにある通信事業者でありワーナーメディアを傘下におく企業です。

この企業は2008年からリスキリングを導入しており、リスティングの先駆者と言われているのです。

 

2008年、AT&Tが行った社内調査によって「従業員25万人のうち、事業に必要なサイエンスやエンジニアリングのスキルを持つものは約半分に過ぎず、約10万人は10年後には存在しないであろうハードウェア関連の仕事に従事している」という衝撃的事実を明らかにし、そこからリスティングの重要性を提示し、実施に至ったのです。

 

2020年までに10億ドルを投下して10万人のリスキリングを行うことを目指し、

環境整備・必要なスキルや能力の明確化・訓練でよりよい成績を収めたものに対する報酬体系の導入・キャリア開発支援ツールの提供・オンライン訓練コースの開発と提供

など、リスキリングを行うのに必要な準備を整えてから行ったようです。

その結果、AT&Tでは技術職の約8割が社内人材によって補われているそうです。

 

日立

日立製作所では、AIを用いて社員のリスキリングを促すシステムを導入したそうです。

AIが社員1人1人のスキルを把握し、将来必要となるデジタル知識や外国語の習得を促すそうです。

 

また、学習体験プラットフォームという新システムを導入したようです。

学習体験プラットフォームとは、米リンクトインが提供する16000個の講座や、合計10言語の学習プログラムを受講することができます。

 

日立製作所では、若手だけでなく管理者層の再教育にも力を入れているため社員全体のスキルアップを進めているようです。

管理者層もスキルが付くことで、社員全員が同じ知識量をもって会話をすることができ、生産性のアップにも繋がると考えます。

 

 

このように、企業はそれぞれにリスキリングを行い、今後必要不可欠となるスキルを社員から獲得することができるように行動しています。

リスキリングは中小企業も大企業も関係ないので、未来を踏まえてリスキリングの導入を行いましょう!

 

まとめ

リスキリングとは何か、注目されている理由などが分かったかと思います。

内容を簡単にまとめると、

ここがポイント
  • リスキリングとは、企業が社員に技術の再教育を促すもの
  • メリットは、生産性の向上・採用コストの削減など
  • デメリットは、長期決戦・人材が出ていくリスクなど
  • リスキリングの導入はステップを踏む必要アリ

このようになります。

 

リスキリングは企業をもっと発展させるために必要になってくる教育方法なので、ぜひ早めに導入していきましょう♪

 

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