近年は福利厚生の種類も豊富になってきており、会社独自の福利厚生を作っているところもあります。
最近は「国民の食と健康管理」が見直されるようになり、福利厚生の中でも「食事補助」が注目されるようになってきました。
今回は、そんな食事補助のメリットや導入時の注意点、ポイントなどをお話しようと思います。
食事補助とは、従業員の昼食代などの食事にかかる費用を会社が負担するものです。
食事補助の方法はいくつかあり、社食や現金給付など、企業体制に合わせて選ぶことができます。
2020年のエデンレッドジャパンの調査によると、日本でも食事補助を福利厚生に入れて欲しいというニーズがあるものの、実際に導入している企業はかなり少ないことが分かります。
画像出典元:エデンレッドジャパン
フランスでは、従業員の食事補助は義務です。
しかし、日本では食事補助は義務化されていないため、そういう理由もあり食事補助の導入率が低いのでしょう。
食事補助を福利厚生に加えることで従業員満足度の向上、従業員の健康サポートなど様々なメリットがあるので、次はそれをお話しします。
食事補助とまかないはほとんど同じもののように感じますが、実際はどうなのでしょうか。
まかないは食事そのものが出ることを指し、食事補助はチケットや割引などで食事の補助をすることを指します。
まかないは飲食店でのバイトで付いていることが多いので、すぐに食事が出せる場所で提供されます。
一方、食事補助は割引など食事の負担を減らすためのものなので、すぐに食事が出せない会社員にも利用できる制度です。
このように、食事補助とまかないは提供するものの形が違うのです。
上記で話したように、食事補助は福利厚生の中でも人気があります。
エデンレッドジャパンによる「満足のいくランチが食べられるようになったらモチベーションは上がると思いますか?」という質問に対して、半数以上の人が「今より上がると思う」と答えています。
このように、食事補助がでれば食事代をケチることなく好きなものを食べれるようになるため、従業員満足度もアップにも繋がるのです。
また、食事補助は住宅手当や扶養手当とは違い公平に権利を与えられるため、導入後も不満が出にくい福利厚生なのです。
社員食堂の設置やお弁当の提供などを行う場合は、栄養価の高いメニューを取り入れることで従業員にバランスの良い食事を与えることができます。
従業員の健康をサポートすることに繋がり、より生き生きと働けるようになるでしょう。
食事補助を行うことで、社員食堂に行ったり同僚と外に食べに行くなど、食事の選択肢が広がります。
自分のデスク以外で食事をとることで、社員同士のコミュニケーションのきっかけになります。
社員同士のコミュニケーションが増えれば、気分転換になって仕事効率が上がったり、雑談からいいアイデアが湧いたりするでしょう。
日本では食事補助を導入している企業が少ないので、他社との差別化ポイントになります。
食事補助のニーズは高いため、求人応募者の数もアップすること間違いなし!
条件はありますが、食事補助代は福利厚生費として計上でき、非課税になる場合があります。
詳しくは「非課税・課税対象に注意する」の項目をご覧ください。
食事補助の支給方法は種類があります。
会社の規模や方針に乗則って決めるとことをおすすめします。
社内に食堂を設置して、そこで昼食や休憩ができるようにする方法です。
こちらは食堂を置く場所を用意する必要があり、かかるコストも大きいです。
栄養価の高い食事を従業員に提供できる、デスクでの食事をなくしメリハリをつけて働けるなどのメリットは多いため、大規模な企業でかけられるコストに余裕がある場合はおすすめです。
社員食堂の運営方法は以下の3つです。
直営方式・準直営方式は食堂のデザインやメニューを自由に決められるので自社の色を出すことができ、来訪者をもてなす場としても利用できます。
外部委託方式は自社の好きにはできませんが、調理スタッフを雇ったりメニュー開発の手間がないのでコストを大幅に減らすことができます。
お弁当屋さんなどと契約して、毎日お昼にお弁当や軽食を届けてもらう方法です。
今は企業向けにお弁当販売を行っている会社も多く、社員食堂のようにスペースが必要なわけでもないので導入しやすいと思います。
頼んだ人だけ弁当代を給料から天引きという形であれば、食べなかった人はお金が取られないため、より不満が生まれない福利厚生になります。
チケットというのは、全国の提携先コンビニ・レストランなどで会計時に利用できる食事補助サービスのことです。
営業など社外に出ている人でも近くのお店で使えるため、一番公平性が高く人気の食事補助方法になります。
電子カードで利用できるため、嵩張ることなくいつでも持ち歩くことができます。
チャージも管理もオンラインでできるため、利用しやすく費用計算も手間がかかりません。
一番シンプルな方法ですが、現金支給も従業員に喜ばれやすいです。
「食事補助」という明確な壁がないため、節約したい時は支給された食事補助代を貯金することもできて、従業員の自由に使うことができます。
しかし、この方法では食事補助代を完全に貯金する人も出てくるため、健康面でのサポートになりにくい点が注意点に上げられます。
また、支給額が所得とみなされ課税対象となるためあまり現金支給している企業はありません。
設置型サービスも聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
「オフィスグリコ」や「オフィスコンビニ」など、社内にお菓子やお惣菜、菓子パンなどを置いておくサービスになります。
設置型であれば好きな時に好きな商品を買うことができ、ちょっとした息抜きにも有効です。
他のものに比べて低コストで導入できることもあり、近年利用企業が増えてきています。
従業員としても、好きな時にちょっとした軽食を買えるのは便利でいいですよね。
シャッフルランチとは、ランチ代は会社が負担し、普段話す機会の少ない社員同士がランチをするというものです。
美味しいものを一緒に食べることで、接点の少ない従業員同士が仲良くなるきっかけを作れる画期的な方法といえます。
従業員同士のコミュニケーションを活発にさせたい場合は一番おすすめの福利厚生になります。
昼食代は会社負担になるので、費用を気にせず楽しむことができます。
ただし、あまり頻繁にやると疲れてしまうので、月に1~2回程度に抑えましょう。
また、盛り上がらない可能性を配慮して、予め話題を決めるなどみんなが楽しく話せる工夫を会社側で行う必要があります。
このように、食事補助の方法は様々です。どれが一番自社に向いているか考えて、従業員にプラスになる食事補助を行いましょう♪
次は、食事補助を行う際のポイントと気にするべき点についてお話します。
導入前に必ず確認してください。
まず初めに、「なぜ食事補助を導入するのか」を考えましょう。
などなど、会社によって導入目的は様々だと思います。
目的を明確にすることで、どの提供方法を行うかが自ずと見えてきます。
日本では、非課税となる金額の上限が3,500円と決められています。
非課税であれば企業にとっても経済的メリットがあるため、非課税の範囲で支給を行っている企業が多く、食事補助の相場は3,500円といえるでしょう。
尚、食事補助が非課税になるには条件が2つあります。
上記を満たしている場合に、食事補助代を非課税扱いにすることができるのです。
そのため、会社からの食事補助代3,500円と従業員が負担する金額3,500円を合計して、月に使えるお金は7,000円。
出勤日が22日とすると、1日の支給額相場は318円になります。
もちろん、非課税でなくても良ければ金額に上限はないため、従業員が満足できる額を支給することができます。
そっちの方が従業員満足度は高まります。
目的の明確化と似ていますが、その会社に合った方法を選びましょう。
コストがないのに社員食堂を設置するのは難しいですし、従業員が多いのに設置型サービスだけではむしろ不満が生まれる可能性があります。
自社の状況を整理して、目的に応じた一番ピッタリの方法を見つけましょう。
実際に利用するのは従業員のため、従業員にどういう食事補助があったら嬉しいかなどアンケートを取ると良いでしょう。
その際なぜその方法がいいのかの理由を書いてもらうことで、目的と合致しているかつ不満の出にくい方法を選ぶことができると思います。
金額だけでなく、支給時間や支給方法によっては課税対象になる場合もあります。
主なパターンをまとめたので参考にしてください。
以下の要件を満たせば福利厚生費として課税対象になりません。
【要件】
※一緒に食事をとるのはいいが、居酒屋の場合は交際費になる可能性大。
※従業員が立て替えて、後日レシートで精算するのもOK
22時~29時間での深夜勤務で、社食が閉まっているなど夜食の提供が困難な場合、1食あたり300円以下の現金支給であれば課税対象になりません。
例えば、お弁当を会社の費用で購入してそれを従業員に販売する場合、従業員から支払われたお金は課税対象になります。
外部の食堂を利用する場合も同様で、食堂での食事チケットを無償配布した場合は非課税ですが、チケットを企業側で購入してそれを従業員に販売した場合は、その売上は課税対象になります。
非課税・課税対象は細かく決められているので、最初に確認しておきましょう!
同一労働同一賃金は、正規・非正規従業員の不平等性をなくそうという制度です。
食事補助も同一労働同一賃金に配慮して、雇用体制に関わらず支給の有無や支給額に差をつけてはいけません。
しかし、就労時間が短時間だったり昼食を必要としない時間帯(14時~18時まで等)の場合は、食事の支給をしなくても問題にはなりません。
最後に、おすすめの食事補助サービスを4つお紹介します。
全国250,000店以上のコンビニやレストランで利用できる食事補助サービス。
導入企業は2000社以上になっており、食事補助業界実績№1のようです。
基本的に飲食物の購入でしか使えないため、従業員の食生活のサポートがしっかりできます。
以前は紙タイプの食事券がメインだったようですが、最近はICカードに代わっているようです。
コンビニだけでなくカフェやレストランでも使えるので、従業員の食事の幅が広がります。
また、内勤外勤関係なく利用できるため、公平性の高い福利厚生になっています。
こちらは、置き型社食サービスです。
1品100円で健康的なおかずを購入できるため、従業員は低コストでバランスの良い食事をすることができるのです。
昼食時以外にも気軽に購入できる点や、企業規模に関わらず導入できる点などから、導入企業は3000社にも及んでいます。
24時間利用できるので、残業時の夜食にしたり持ち帰って夕飯にしたりと使い方が豊富です。
また、自宅に届けることができる「オフィスおかん仕送り便」というものもあるので、テレワーク中の従業員にも福利厚生を利用していただけます。
プランがいくつかあるので、自社に合わせて選びましょう。
シャショクラブは、オフィス向けのお弁当配達サービスです。
オフィスまで届けてくれるので出かける手間がありません。
複数ある中から好きなお弁当の種類を選べるので、お弁当の内容に飽きることなくお弁当選びが楽しくなること間違いなし!
また、シャショクラブの独自システムにより経理作業も負担がかからないのもメリットです。
月額プランが3つ用意されており、お弁当の注文数に応じてお選びいただけます。
福利厚生を利用することで通常よりも安く利用できるのも魅力♪
グリコのチョコレートやスナックといったお菓子だけでなく、飲み物やアイスを社内で販売するサービスです。
毎日のちょっとした息抜きや、糖分を取りたい時にいつでも利用できます。
オフィスグリコがあることでコミュニケーションが生まれたり、コンビニに行かなくていいので移動時間の節約にもなります。
スタッフ訪問型とセルフ型があり、セルフの場合はQRコード決済のみになります。
オフィスグリコの設置費用は無料で、冷蔵庫の貸し出しも無料というお得サービス!
かかるのは冷蔵庫の電気代のみなので気軽に導入できます。
企業は社員にどんな食事補助を提供しているのでしょうか。
他社の取り組みを参考にしてみてください。
楽天では、社食を無料で食べられる食事補助サービスがあります。
また、「社員は全て家族であり、同じ釜の飯を食べる」という企業理念があるため、お昼だけでなく朝・昼・晩3食分利用することができるのです。
メニューも様々な国の料理が提供されるため飽きることなく楽しむことができ、席も750席あるので座れない心配をすることもありません。
広島に本社を構える、精密部品の製造販売を行っている企業。
ここには社員食堂があり、社員の健康に配慮した栄養価の高いメニューを調理スタッフが考えているそうです。
解放感のある明るい食堂を10代~70代の社員が利用しているため、交流の機会にも繋がりコミュニケーション増加のメリットもあるそうです。
一日1メニューにしているため、食堂スタッフの調理負担も少なくすんでいるようです。
なお、メインメニューが食べれない人用にカレーは毎日用意されているそうです。
また、月に一回「チャレンジデー」というイベントがあり、ステーキやウナギなどの豪華メニューを破格の値段で提供しているそうです。
そんなのがあったらお昼が楽しみで仕事もはかどりますよね。
チャレンジデーがYahoo!ニュースで注目されたことから、会社の知名度もアップしたそうです。
コンタクトレンズや動物医療事業など幅広く事業展開をしている企業。
もともと食堂はありましたが、平日の10:30~13:30までしか利用できなかったため、夜勤や土日出勤の社員が食事補助を受けられなかったようです。
そこで、オフィスおかんといういつでも購入できる置き型食事補助を導入したようです。
これにより、社員はおいしくて健康にいい食事をいつでも楽しむことができています。
https://office.okan.jp/case/item/menicon/
食事補助は、社員の健康や満足度が向上するだけでなく、会社にとってもメリットが大きいです。
働く社員が美味しい食事をして元気でいなければ会社は廻っていきませんよね。
社員が会社の福利厚生に満足し、しっかりご飯を食べることでエネルギーがみなぎって生産性も上がります。
ご飯は力の源なので、疎かにしてはいけません。
この機会にぜひ、食事補助を取り入れてみてはいかがでしょう♪