来年の春から解禁となる給与のデジタル払い。
電子マネーで支払う人が増えているためいいことに感じる人も多いかと思いますが、実際にはどのようなメリットや課題があるのでしょうか。
来年に向け、ここで知っておくべき知識を増やしておきましょう!
給与を「○○ペイ」のような電子マネーで支払うことです。
厚生労働省は、今後給与は銀行振込だけでなく決済アプリを手掛ける資金移動業者を通じた支払いもできるようにする省令改正案を了承したようです。
海外では給与の振込先として「ペイロールカード」の導入が進んでおり、銀行口座はなくても給与を受け取ることができるようです。
ペイロールカードでそのまま買い物ができるだけでなく、現金の引き出しもできるなど万能なカードのようです。
ペイロールカードを参考に、日本でも口座がなくても給与振込ができる方法はないかと議論が行われ、デジタル払いに行きついたようです。
国がデジタル払いを推奨する背景として、電子マネーで支払いを行うユーザーが増加していること、キャッシュレス決済を増やす目標を掲げていることが挙げられます。
が、今のところ給与デジタル払いへの参入を提言しています。
利用者が多い決済アプリ事業者は対応を行っていくことでしょう。
2023年4月から施行するそうです。
ただし、給与振り込みを行う資金移動業者は厚生労働省の指定を受けるために申請をして数か月の審査を受ける必要があるため、実際に活用が開始されるのは2023年の後半と想定されています。
給与デジタル払いの議論の発端は「口座をもたない外国人労働者にどのように給与を支払うか」だったようなので、一番の目的は外国人が働きやすい給与体系の確立のようです。
また国においての目的は、「2025年までにキャッシュレス決済比率を40%にする」という目標を達成する政策の一環であったり、企業や従業員の手間を減らす、などの目的があるようです。
デジタル払いにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
どちらも確認していきましょう。
銀行振込では1件数百円かかる振込手数料ですが、デジタル化することでその手数料を無料もしくはかなりの低価格で送金を行うことができます。
給料日は銀行のATMが混んで、引き出すだけなのに時間がかかるのはすごくストレスですよね。
デジタル払いであれば、ATMに並ぶ必要もなく直接お金が入ってくるので引き出す手間がなくなります。
電子決済を行うためにわざわざ現金を引き出して電子マネーに変換している人もいると思うので、その手間がなくなるのはかなりのメリットだと思います。
給与払いは会社の場合銀行振込一択でしたが、来年からデジタル払いも選ぶことができます。
デジタル払いが増えることで週払いや日払いといった選択肢も取れるようになるので、給与の受取がもっと柔軟になります。
様々な個人情報と審査が必要な銀行開設に比べ、ある程度の条件を満たしていれば登録できてしまうスマホ決済サービスは、やはりセキュリティ制での心配があります。
ネット上の取引となるので、ウイルスに感染したり情報漏洩のリスクがあります。
各事業者はそのようなことが起きないようデータの暗号化などセキュリティ対策を徹底しているとは思いますが、100%安全とは言えません。
しかし、それはスマホ決済に限らず銀行でも同じことが言えます。
最近増えてきた資金移動業者に給与の全額を預けるのは不安だと考える人は多いでしょう。
登録が比較的簡単という点も、信用が確保できない理由の一つです。
そのため、実際の運用では「2階建て方式」を利用する予定のようです。
2階建て方式とは、資金移動業者を定義する金融庁の規制を「1階」、厚生労働省による「倒産した場合の資金保全の義務化」「換金性」「不正引き出しに対する対策や補償」といった規制を「2階」として、これらの規制を合格した資金移動業者が給与のデジタル払いに対応できるというものです。
これにより利用者の安心度は上がりますが、これらの規制をクリアして参入できる会社がどのくらいあるかが問題となります。
ペイペイなどのスマホ決済では入金上限額が決まっており、基本的に100万円が限度となります。
スマホ決済の中に100万円が溜まってしまうと、それ以上の入金ができないため溢れた分は銀行に入れることとなり、結局銀行口座は手放せないものとなります。
デジタル払いが追加されることにより、給与の振り分け先が増えるため事務作業が以前より増えてしまいます。
慣れない頃は入金ミスが発生するリスクもあり、導入したての頃は特に注意して二重確認などの作業をした方がいいでしょう。
「口座を作れない外国人にもスムーズに給与を払う方法がないか」という議題から生まれた「給与デジタル払い」ですが、セキュリティや信用度の問題から当初の目的とはかけ離れたものになりそうです。
2階建て方式によりアカウントの運用が厳しくなることで、身分証などで本人確認が必要になりますし、100万円という上限があるため結局銀行と併用する必要があります。
銀行振込に変わる新たな給与支払いの選択肢というよりは、銀行口座ありきで受け取り方が増えただけという状態になってしまっているようです。
多くの人が疑問に思っている内容について調べたので、ここで確認してデジタル払いを正しく認識しましょう。
強制はされません。
デジタル払いは希望した従業員にのみ一部または全額をデジタル払いするものであって、企業は強制することはできません。
それは銀行口座であっても同様です。
そもそも、労働基準法では給与は通貨で支払うことが義務づけられています。
そのため、通常であれば銀行振込による入金も違法となります。
しかし、現金手渡しよりも安全かつ引き落としなど支払いの利便性が高いため、厚生労働省の例外として銀行振込が許可されているのです。
今回のデジタル払いも厚生労働省の例外の一つとして追加される形になるので、違法にはならないのです。
今のところデジタル払いが義務化される流れはないので、全ての会社でデジタル払いが選択できるようになるわけではないと思います。
実は、電子マネーを現金に換金することはできるのです。
銀行によっては現金化までに数日かかる場合もありますが、もし「給与を全額デジタル払いしてもらったけど、一部現金に戻したい!」という場合でも対応できるようです。
ペイペイ、メルペイ、LINEペイなど大手であれば現金化は可能なところが多いので、詳しくは調べてみてください。
いまのところ言及はされていません。
しかしキャッシュレス決済を増やしたい国の施策もあるので、可能性はゼロではないです。
セキュリティ対策の2階建て方式で、破綻時の全額補償の仕組みを設けるよう規制がかけられるようですが、まだそのような補償は確立されていないようです。
デジタル払いが一般化する中で全額補償が当たり前となっていく可能性は十分にあります。
電子マネーを中心に利用している場合、当人が無くなってしまった場合の相続はできるのか、気になりますよね。
結論から言うと、電子マネーは相続できます。
現時点では全ての電子マネーが相続できるわけではありませんが、利用者の多いペイペイ・メルペイ・LINEペイなどは払い戻しサービスがあるようです。
もちろん、払い戻しには死亡診断書や本人との続柄が分かる公的書類などの用意が必要になります。
また、返金額は振込手数料を差し引いた金額になるようです。
QR決済系の電子マネーだけでなく、スイカやパスモなどの交通系電子マネーも相続の対象となるようです(相続できないものも存在します)。
電子マネーは支払いがスムーズでさらにポイントが溜まったりと現金よりお得に使えるため、すごく便利ですよね。
しかし、多額のお金を入れておくのは不安という方も多いでしょう。
給与のデジタル払いは強制ではないので、より利便性を考える人は一部だけでもデジタル払いにしてみてはいかがでしょうか。
デジタル払いについてはまだ誤解していることがいろいろあると思うので、個人の意見を鵜呑みにせず、正しい情報収集を行ってください。
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