会社が利益を出すためには、目標を決めたり課題解決を繰り返していく必要があります。
そのためには売上推移などのデータ分析が必要だと思いますが、データを上手に活用できている企業は実は少ないのです。
そこで近年注目度が上がっている「データドリブン」について解説していきたいと思います。
データ分析の参考になると思うのでぜひ見ていってください!
データドリブンとは
データドリブンとは、売上データやweb解析データなど様々なデータを用いて意思決定や課題解決を行う業務プロセスのことを言います。
今までもデータは重要視されてきましたが、ビックデータやデジタルマーケティング技術の発展・顧客行動の複雑化・価値感の多様化などによりデータの価値が今までより向上しています。
データドリブンを行うことでこのような変化にも対応していけるようになるのです。
データサイエンスとの違い
データサイエンスは、統計学・情報工学・AI・データ分析などの様々な方法を使って取得したデータから、社会的に価値のある知見を導き出す技術の一つです。
2つはデータを使う部分で似ていますが、目的が異なります。
データドリブンは、意思決定や課題解決をするのが目的で、データサイエンスは新しい情報や技術を発見するのが目的です。
データドリブンが注目されているのはなぜ?
データドリブンはなぜ注目されているのでしょうか。
その主な理由は4つあります。
- デジタル技術の発展
- 顧客行動の複雑化
- AIの活用が増えている
- ニーズの動きが早まっている
詳しく見ていきましょう。
デジタル技術の発展
デジタル技術の発展によりビックデータやデジタルマーケティング技術も高度化し、より精密なデータが取れるようになりました。
精密なデータ分析ができることは利益の拡大に繋がるため、データドリブンを利用することでより多くのデータを取得していくことができます。
顧客行動の複雑化
顧客が商品を買う際の行動は多様化しています。
SNSで人気な商品を検索したり、口コミを見て評価したり、ネットで検索してから購入を検討する人が増えているのです。
多様化する購買行動を把握しそれに合ったアプローチを行うためにはデータ収集と分析が欠かせません。
データドリブンを利用することで顧客の行動を把握し、それに合わせてアプローチ方法を変えていくことができます。
費用対効果の高いマーケティング施策の需要増加
顧客行動の多様化に伴いデジタルマーケティング技術も様々なものが登場していますが、自社に合わないマーケティング方法ではやみくもに実勢しても利益に繋がらなくなっています。
不特定多数に向けたマーケティングよりも、自社の製品とターゲット層に合ったマーケティングを行うのが主流になっているのです。
自社に合ったマーケティング方法を見つけるにはデータ収集と分析が必要不可欠なので、データドリブンの力が必要になっているのです。
ニーズの動きが早まっている
近年、市場の流動が早く、製品やサービスの寿命が短くなっています。
顧客は常に新しいものを求めているため、今ある製品・サービスの課題発見・解決をスピーディーに行っていかないと他社に負けてしまいます。
ニーズを把握し既存製品・サービスの課題発見・解決をするためにはデータの存在が重要になります。
データドリブンを利用することでより正確なデータ収集が可能になるのです。
データドリブンマーケティング・経営を行うメリットデメリット
メリット
売上や利益の増加に繋がる
データからは今のニーズや市場動向を読み取ることができるため、それに合わせて施策を考えアプローチ方法を変えていくことで売上や利益の増加に繋げることができます。
常にデータを集めて分析を繰り返すことで変化に強い企業を作ることができ、顧客行動や価値観の多様化に臨機応変に対応できるようになります。
意思決定の精度が上がる
データは今起こっていることを正確に示してくれ、根拠のある情報を提供してくれます。
意思決定においてノイズとなる愛着・取引先との関係・プライドなどを無くしてデータに沿った意味のある意思決定を行うことができるようになります。
そうすることで意思決定の制度が上がり、成果を得られる行動をとれるようになるのです。
顧客満足度が向上する
今までのマーケティングでは、データ結果を取り入れていない分「こうなるはずだ」という推測の元行動を行っていく必要があったため、顧客が本当に求めている方向に向かっていかないこともありました。
しかしデータドリブンマーケティングなら、顧客行動やニーズのデータを基にマーケティング方法を考えていくため顧客が求めている方向に製品・サービスを持っていくことができます。
データを基に顧客が本当に求めている価値を提供できるのがデータドリブンマーケティングの良いところなのです。
先を読みながら行動できる
データは過去の結果を表示するものですが、過去の動きから未来を予測することができます。
時期や年齢層、ターゲット層との乖離、価格、天気など、様々な情報を組み合わせて分析していくことで、
「この製品はどの時期にどの年齢層によく売れている」「予測したターゲット層とは違う層での購入率が多い」
など、製品・サービスの課題を見つけこの先どのように動けば利益を上げられるかを過去から読み取ることができるのです。
市場動向や顧客ニーズのデータを分析すれば、今後そのような製品・サービスの需要が伸びていくのかを予測することもできます。
データは使い方によって色々な情報を提供してくれる素晴らしいものなので、活用しない手はありません。
デメリット
データ収集・分析の能力がある程度必要
データドリブンマーケティングを行うためには、データを取り扱うためのスキルが必要になります。
必要なデータの収集能力はもちろん、集めたデータを統合・分析してその結果をまとめなければいけません。
データドリブンを取り入れるにはそれなりの教育コストがかかることを理解しておきましょう。
また、データドリブンを活用できるようになるまで時間がかかるため、すぐに活用していけるものではないということも知っておきましょう。
データ連携ができないと能力が発揮できない
各部署のデータを連携・共有できないと、データドリブンを有効に活用することはできません。
組織がサイロ化(他部署同士で情報共有や連携ができておらずそれぞれ独自に業務を行っている状態のこと)されている場合、部署間での情報共有ができないので十分な量のデータが収集できず、データドリブンマーケティングをしっかり行うことができないのです。
その場合、組織体系を変えるところから入らなければいけないのでかなりの時間がかかります。
ツールの活用で環境整備する必要がある
データドリブンマーケティングを行うにはツール導入が必要不可欠です。
ツール導入にはそれなりのコストがかかるので、それも理解しておきましょう。
しかし、ツールを導入することで作業効率が上がったりデータの正確性が高まるのでコストパフォーマンスは高いと思います。
データドリブンを実現させるためのツールは下記でご紹介しています。
知って得する!データドリブンマーケティングの進め方
データドリブンはどのように進めていけばいいのでしょうか。
手順をみていきましょう。
➀データを収集する
データドリブンは、まず十分な量のデータを集めるところから始まります。
Webサーバーやツール、IoTデバイスから集めるのが一般的です。
データを集めビックデータとして蓄積することで、今までのデータ結果から意思決定に必要な情報を提供してくのです。
活用できる量のデータがない場合はデータの蓄積から始めることになるので、データ収集・蓄積ツールを導入することをおすすめします。
➁データを可視化する
集めたデータをすぐに分析するのではなく、どのようなデータなのかを可視化して分析しやすくする工程が必要になります。
膨大なデータを人の手で解析するのは時間がいくらあってもありません。
データ解析ツールやBIツール(データを分析・可視化するツール)を使うことで効率的に可視化ができます。
➂データの分析・アクションプランを検討する
可視化したデータを基に分析し、傾向を把握したり課題を見つけ出し、どのように行動するべきかを判断していきます。
データドリブンでは、蓄積されたデータの時間的変化・相関関係・定量的データなどを分析することで予測値を導き出します。
ビックデータの分析には専門的スキルやノウハウが必要になるので、そのようなスキルを持つ人材の獲得や教育が必要不可欠となります。
➃アクションプランを実行する
アクションプランが策定できたら、それを実行していきます。
データドリブンマーケティングの実行は周りの理解がなければ行っていくことはできないので、データドリブンマーケティングの有効性を周知して十分に理解してもらうことが重要です。
尚、➀~➃の工程は一度切りではなく何度も繰り返していくことで意味があります。
蓄積されていくデータを基に課題を見つけ、ニーズの傾向を把握し、PDCAを回してアプローチ方法を変えていくことで効果的に活用していくことができます。
データドリブンの成功事例から見るポイント
USJ
USJは、データドリブンマーケティングを行って成長した企業の一つです。
最初は蓄積されているデータが多くなかったこともあって、社内での理解が追い付いていませんでしたが、入場口チケット筐体の入れ替えによりデータドリブンマーケティングが使われるようになりました。
まずはゲストの情報を十分集めるためにweb上でチケットを購入できる仕組みを作り、webサイトを改善することでユーザーを増やすことに専念しました。
その後、QRコードチケットの導入でゲストIDと入場履歴の紐づけを行ったり、パーク内でのゲストの行動をデータ化したりと、ゲストの情報を集めてより顧客に寄り添ったサービスが提供できるようにしました。
このような努力により、今ではゲスト一人一人に合わせた体験を提供する「コンシェルジュ機能」が追加され、よりゲストがパーク内で快適に過ごせるようになっています。
日清食品
日清食品はデジタル化を推進してきており、基幹システムSAPやテレワークの導入などIT環境を整えています。
そんな中で、顧客層の見直しと共にシニア層への拡大を目的にデータ分析に着手しました。
常日頃からSNSに日常を発信している熟年層ユーザーにターゲットを絞り、普段どんな投稿をしているのか把握し十分なデータを収集して分析し、シニア層のSNSユーザーは豪華な写真を投稿している頻度が高いことが分かりました。
そこで、カップラーメンもスッポンスープやふかひれ、アワビなどを用いたリッチシリーズを発売し、シニア層にも好評を得てみごとに売上を伸ばしました。
アイビー化粧品
化粧品や化粧雑貨を取り扱いアイビー化粧品では、AIによる画像認識を活用した肌診断システムをモンスターラボと共に開発しています。
この開発は、データがない状態からのスモールスタートでした。
初期コストを抑え、投入までの時間を短縮した状態で開発を初め、素早くデータ収集をすることでデータを育てながら開発を進めていったそうです。
データ蓄積をメインに行うのではなく、データを集めながらも開発を進めていくという新しい方法でデータドリブンマーケティングを行っています。
データドリブンを実現させるツールについて
データドリブンを効率よく進めるためにはツールの存在が必要不可欠です。
どんなツールがいいのかご紹介します。
BI
上記でも紹介した、データ分析・可視化するツールです。
レポーティング・売上シミュレーション・経営管理などの機能も備えているため、データを活用したマーケティングを行うにあたって必要となるツールです。
DMP
顧客データやネット上のログなどのデータから、顧客の興味関心をリアルタイムで分析できるツールです。
商品・サービスの方向性を決めたりターゲット層にあったものを作るのに欠かせない情報を提供してくれます。
CRM
顧客とのつながりを強くするもので、顧客のパーソナルデータや購買履歴などを分析し、既存顧客をつなぎとめるための施策を考える上で役だつツールです。
MA
獲得した潜在顧客の情報を一元管理し、ダイレクトメールやSNS、webサイトなどでのマーケティング活動を自動化するツールです。
見込みの高い顧客に対してアプローチを行えるので、営業の負担を軽減し向こうからの問い合わせを獲得できます。
web解析ツール
自社サイトの検索順位・PV数・セッション数・CTRなどを集計して表示してくれるツールです。
自社サイトで掲載している広告やランディングページの効果測定に必須で、課題発見と改善をするためには解析ツールが必要になります。
まとめ
データドリブンマーケティングを行うことで、顧客が本当に求めている商品・サービスを提供することに繋がります。
顧客満足度が向上するだけでなく、利益にも繋がるデータ活用をしない手はありませんね♪
今からでも遅くなりません、ぜひデータを活用して会社の製品を求めている人たちに提供していきましょう!
こちらも、製品・サービスのマーケティングを行う上で重要な手法である「パーソナライゼーション」を説明しているので、ぜひご覧ください。
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