マイナンバーカードを保有している人の割合は、令和6年12月末の時点で全国民の7割を超えています。
マイナンバーの保有率が高くなっているわけですが、多くの個人情報を含むカードであるため、会社に提出したくない人も多いでしょう。
この記事では、会社にマイナンバー情報を提出する必要性について解説していきます。
マイナンバーを会社に提出する理由
マイナンバー情報を会社に提出する理由は、次の2つです。
- 税金の手続きをするため
- 社会保障の手続きをするため
税金の手続きをするため
税務署に提出する源泉徴収票は、マイナンバーの記載が必須です。
年末調整の際に必要になるので、それまでにマイナンバーを提出してもらいます。
なお、従業員本人に交付する源泉徴収票については、マイナンバーの提出は必要ありません。
社会保障の手続きをするため
健康保険・年金・労働保険の手続きでマイナンバーが必要になります。
会社は、社会保険の書類に従業員のマイナンバーを記載し、各種行政機関へ提出します。
提出は義務?拒否できる?
企業は、従業員のマイナンバーを収集して必要書類に記載することが義務付けられています。
そのため、就業規則に「原則、マイナンバー情報を提出する必要がある」と記載できます。
しかし、マイナンバー法には、従業員がマイナンバーを提出する義務があるという記載はありません。
そのため、従業員はマイナンバーの提出を拒否できます。
しかし、会社は収集義務があるため、収集する義務を怠ると義務違反となってしまいます。
もし従業員にマイナンバーの提出を拒否された場合、その一連の流れややり取りを詳細に記録し、故意に収集を怠ったわけではないことを伝えましょう。
加えて、従業員には国へのマイナンバー提出の意味やセキュリティ面についてしっかりと説明し、継続してマイナンバーの提出を求めてください。
マイナンバーを提出しないとどうなる?
マイナンバーを提出しなくても、罰則や解雇になるといったことはありません。
源泉徴収票に関しても、マイナンバーの記載がなくても書類を受理してくれます。
しかし、今後マイナンバーでの情報取得が加速した場合は、マイナンバーがないと本人確認が通常より厳しくなる可能性があります。
社会保険に関しても、マイナンバーを記載しなくても手続きはできます。
しかし、マイナンバーを提出しないことで以下のようなデメリットが生じる可能性があります。
- 保険証の発行が遅れる
- 住民票などを取得するのに別途費用がかかる
- 転職などで健康保険が変わると、資格確認書を発行する必要がある
マイナンバーの提出方法
マイナンバーの収集方法はいくつかあります。
会社によって収集方法、提出物が異なるので、収集前に必ず確認してください。
個人番号カード(マイナンバーカード)を持っている場合
個人番号カードの裏表のコピー
+
身分証明書(運転免許証、保険証等)いずれか1点のコピー
通知カードを持っている場合
個人番号カードを持っていない場合、通知カードを提出しましょう。
通知カードとは、日本に住む全ての人に交付された、マイナンバーが書かれた緑の紙製のカードです。
➀
通知カードのコピー
+
顔写真付き身分証明書(運転免許証、保険証等)1点のコピー
②
通知カードのコピー
+
顔写真なし身分証明書(保険証や年金手帳等)2点のコピー
個人番号カードも通知カードもない場合
個人番号カードも通知カードもない場合は、役所で住民票の写しをもらいましょう。
住民登録をしている役所の窓口で申し込むか、ネットで申請すると交付してもらうことができます。
この際、必ずマイナンバーの記載があるものを申請しましょう。
➀
住民票の写し(マイナンバー付)
+
顔写真付き身分証明書(運転免許証、保険証等)1点のコピー
②
住民票の写し(マイナンバー付)
+
顔写真なし身分証明書(保険証や年金手帳等)2点のコピー
このように、マイナンバーカードを持っていなくても提出する方法があるので、会社に相談して提出物を確認してください。
【企業向け】マイナンバー管理の注意点
マイナンバーは個人を特定する情報が含まれており、情報漏えいしてしまうと年金の不正受給や銀行口座の開設、個人情報の売買などに利用されてしまいます。
そのようなことが起こらないように、企業は従業員から受け取ったマイナンバー情報を慎重に管理する必要があります。
どのようなことに気を付ければいいのか知っていきましょう。
管理担当者を決めておく
マイナンバー情報を管理する担当者を決めておきましょう。
個人情報保護委員会ガイドラインでも、安全管理措置のために担当者を明確にしておく必要があると記載されています。
担当者は、個人情報保護法やマイナンバー制度に関する知識が必要です。
知識を持っていて責任感があり、臨機応変に適切な判断ができる人物を選びましょう。
なお、担当者以外がマイナンバーの提出を求めることはできません。
利用目的を明確化する
従業員にマイナンバーの提供を求める際、利用目的を提示して同意を得なければいけません。
利用目的が明確でないと従業員も安心して提供できないので、自社ではどの手続きでマイナンバーが必要なのか明確化し、従業員に共有しておきましょう。
利用目的以外での収集は禁止されており、万が一行われた場合は厳しい罰則・罰金が科せられます。
また、マイナンバーは基本的に税や社会保険の書類提出に必要なものです。
それ以外での利用は、本人の同意があっても認められないので把握しておきましょう。
セキュリティ体制を強化する
会社は、従業員全員のマイナンバーを厳重に管理する責任があります。
データで保管する場合は、そのデータが簡単に抜き取られないようにセキュリティ対策をする必要があります。
- ログインやアクセスログの記録
- 閲覧者制限
- 強固なパスワードの設定
- 不正ログイン検知システムの導入
- 二段階認証
など、不正アクセスや不特定多数のアクセスを防止するような体制を整えましょう。
書類として管理する場合は、第三者に盗まれるリスクは低いです。
しかし、社内の誰かに盗まれる可能性は十分にあるので、社内セキュリティを強化する必要があります。
- 保管場所の施錠
- 金庫など、厳重な場所への保管
- 定期点検
- 閲覧者の制限(担当者以外は本人のマイナンバーのみ閲覧可能)
など、社内の人がむやみに閲覧できないように、社内でしっかり管理しましょう。
本人確認をすること
企業や行政機関がマイナンバーを利用する際は、本人確認が必須です。
本人確認が行われたマイナンバーのみ利用が許可されます。
本人確認を徹底することで、なりすましによる不正利用を防ぐことができます。
マイナンバーの確認は、マイナンバーカード・通知カード・住民票の写しで行い、身元確認は運転免許証やパスポート、健康保険証などで行います。
不要になったら適切に廃棄する
マイナンバーが記載された書類の保管期間は、従業員の退職後7年間です。
7年間は保管しても大丈夫ですが、7年経ったらデータだけでなくマイナンバーが記載された書類すべてを廃棄しなければいけません。
書類の場合は、シュレッダーや焼却によって復元不可能な状態にしてから廃棄しましょう。
データの場合は復元できない状態にしましょう。
データ削除ソフトを利用したり、パソコン自体を破壊したりする方法があります。
パソコンの破壊は手間がかかるため、専門業者に依頼するのもおすすめです。
まとめ
マイナンバーは重要な存在になってきているため、むやみに会社に提出したくないという方も多いと思います。
しかし、スムーズに給料をもらったり社会保険を受けたりするためには、会社や国に提出する必要があるものです。
会社は、従業員が安心して情報提供できるように、セキュリティ体制をしっかりと整える必要があります。
従業員も会社も、マイナンバーの重要性や使い方について今一度確認しましょう。
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