近年、サブスクリプション型ビジネスが注目されており、サブスクリプションに移行したサービスもたくさんあります。
サブスクリプションビジネスには、どんなメリットがあるのでしょうか。
また、それに伴うリスクはなんでしょうか。
これからサブスクリプションビジネスを始めることを検討している方に役立つ情報をご紹介します。
サブスクリプションとは
サブスクリプションは「定期購読・予約購読」のことを言い、料金を支払うことで一定の期間サービスを利用できるという仕組みのビジネスモデルのことをいいます。
顧客が月1または年1で料金を支払うことで受けられるサービスがサブスクリプションサービスで、アマゾンプライムやAdobeサービス、Spotifyなどが挙げられます。
サブスクリプションサービスは、定額を支払うことでサービスが使い放題になるのが顧客にとってのメリットです。
たくさんの商品の中から好きなものを選べるなんてワクワクしますよね♪
サブスクリプションでは長いので、最近は「サブスク」と略されることが多いです。
この記事では、サブスクと呼ぶことにします。
サブスクビジネスのメリット
まずは、サブスクサービスを行うメリットを見ていきましょう。
継続的に収益が得られる
サブスクビジネスでは、顧客から一定期間に一定の費用を支払ってもらうため、継続した売り上げが見込めます。
売り切りのように毎回売上が変動することがないので、サービスへの投資がしやすいのが定額制の利点です。
臆することなくサービスに投資できるため、顧客満足度をどんどん上げていくことができます。
新規顧客を獲得しやすい
サブスクリプションサービスは、ユーザーにとって初期投資が少なく済むメリットがあります。
数万円するものは買うのにためらいがありますが、月額1000円だったら購入ハードルがぐっと下がりますよね。
一つ一つ選んで買う手間も省けるので、新規顧客を獲得しやすいのです。
生産や仕入れの計画が立てやすい
1つのプランに対するユーザー数を予め把握できるため、売り切り型ビジネスよりも清算や仕入れの計画が立てやすいのもサブスクビジネスのいいところです。
ユーザー数に合わせて在庫を確保すればいいので、在庫が余る、不足する心配をする必要がなくなります。
データ分析がしやすい
サブスクビジネスではユーザーの利用情報がどんどん蓄積していくため、データ分析・改善がしやすいです。
データを元にサービスの改善を行うことで顧客満足度が上がり、解約率を減らすことができます。
サブスクビジネスのリスク
初期投資額が大きい
サブスクビジネスを始めるには、一定数の商品やコンテンツを揃えておく必要があります。
商品・コンテンツ数が少ないと競合他社に顧客を持っていかれてしまうので、ここには力を入れるべきです。
自社サービス限定で提供している商品・コンテンツを出すことで、契約してもらいやすくなるのでおすすめです。
利益が出るまで時間がかかる
サービス開始時は認知度も低いため、顧客数も少ないです。
顧客数に応じて利益が出るビジネスモデルのため、最初は赤字になることは覚悟しておきましょう。
一日も早く利益を回収するために、広告や宣伝で積極的に顧客獲得していきましょう。
一定数の顧客を獲得する必要がある
サブスクビジネスは顧客1人が支払う金額が決まっているため、一定数の顧客を獲得しないと利益を上げることができません。
顧客が一定数に達していなかったり短期間で解約されてしまうと、安定した利益が臨めずビジネスが成り立たなくなってしまいます。
顧客数を意識しながらサービスを提供していきましょう。
競合と価格競争になる可能性
サブスクビジネスを取り入れる企業が増えてきているため、同じサービスを提供する企業と競合関係になる可能性は高いです。
その場合、商品・コンテンツの数が変わらなければ顧客は価格で比較します。
価格競争に陥ると、薄利多売になってサービスを継続できなくなる恐れがあります。
提供サービスに差別化できる付加価値を付けるなどして、価格以外での利用メリットを考える必要があります。
サブスクリプションの成功事例と失敗事例
成功例と失敗例の両方をみることで、成功のポイントを知っていきましょう!
【成功事例】
副しん
中華料理店の「副しん」では、1日に3回まで、来店の度に餃子が1皿無料サービスされるサブスクサービス「副しんギョウザ定期券」を開始しました。
月額500円(税込)で最大93回(1日3回×31日)利用できるため、大変お得なサービスです。
コロナ禍で始まったサービスでしたが、開始からわずか1年で会員は500人を突破し、1人あたりの月平均利用回数は4回に上るそうです。
会員を増やすために従業員が声掛けを行っているわけではなく、店内にギョウザ定期券のポスターやPOPをたくさん掲示しているようです。
それらも「入会してください」というものではなく、導入までの流れを丁寧に記載したものになります。
「会員になりたい」と思ったらその場ですぐに登録できるようにしてあるので、登録ハードルが低いのがメリットですね!
パンスク
株式会社パンフォーユーが提供しているパンのサブスクサービスです。
月額3900円で会員になると、パンフォーユーと提携しているパン屋さんのパンがランダムで定期的に届くという内容です。
現在利用者は8000人を超え、テレビで紹介されたこともあり3か月待ちという好調ぶりです。
なぜそこまで人気が出たのか、それはパン屋さんのパンを冷凍で届けているのが一番の理由です。
冷凍であれば賞味期限を気にせずにすみ、好きなタイミングで一番おいしい状態のパンを食べることができます。
また、パンフォーユーは特殊な包装用の袋を使っており、これを使うと1か月の賞味期限中のでんぷんの劣化が抑えられるそうです。
冷凍+包装用の袋により、通常の配達より美味しい状態で顧客の元に届くのです。
キリンホームタップ
キリンビールが提供しているサブスクサービスで、工場から直接届いたビールを専用のビールサーバーで楽しむことができるというものです。
専用のビールサーバーはレンタルでき、ビールは一番搾りプレミアムの他クラフトビールを季節ごとに3~4種類用意しているそうです。
ホームタップで選べるクラフトビールはコンビニなどで買えないため、「自宅で特別なビールが飲める」という付加価値が顧客獲得に繋がっています。
認知度を上げるため、中井貴一と天海祐希を起用したCMを放映し、その他にも折込チラシや新聞広告、インフルエンサーによるPR活動など様々な施策を行ったそうです。
そのようなPRの効果もあり、2021年3月時点で会員数が10万人に到達したそうです。
【失敗例】
AOKI
ビジネスウェアを扱う大手メーカーのAOKIは、月額7800円から利用できる「suitsbox」というサービスを提供開始後、半年で撤退してしまいました。
サービス内容は、好みやサイズに合わせてスタイリストが厳選したスーツ・シャツ・ネクタイのセットを提供するというものでした。
失敗要因は、利用者層の想定が外れたこと、バリエーションが少なく顧客満足度が低かったことなどが挙げられます。
また、倉庫やクリーニングなどの運用コストも想定より嵩んでしまったようです。
Tokyo Shave Club
男性用カミソリを取り扱うメーカーでは、アメリカで成功を収めたカミソリの定期購入サービス「Dollar Shave Club」のビジネスモデルを参考に、日本で同じようにカミソリの定期購入サービスを開始しました。
しかし、アメリカと日本の市場環境の違いにより、顧客が思ったより獲得できなかったようです。
アメリカは、カミソリが店舗で買いづらいこと、競合を批判したYouTube広告がバズったなどの理由により成功できました。
しかし、日本はカミソリをコンビニでも気軽に買えること、Tokyo Shave Clubのプロモーションが上手くいかなかったことにより、新規顧客が獲得できなかったのです。
海外で成功しているからと言って必ずしも成功するわけではないことが分かります。
Blue Apron
シェフ考案のレシピに沿った高品質な食材が届くミールキットサービス。
サービス開始当初は好調でしたが、どんどん顧客数が減少し業績が低迷しています。
原因の一つは、ミールキットのユーザー離れです。
外食チェーンなどが調理不要の総菜デリバリーサービスに参入したことで、もっと気軽に美味しい料理が食べれるようになってしまいました。
食品の配達を頼む人は「楽をしたい」という気持ちがあるため、ミールキットより楽なサービスが出ればそちらに移ってしまうのです。
また、物流や製造工程で単価を低く抑えられていないのも失敗の要因と言えます。
サブスクビジネスを始める前に、利用するユーザーが感じる利点や不安点を洗い出し、それをクリアできるようなサービス提供方法を考えることが大事ですね。
また、ターゲットユーザーは明確か、どこにどのくらいのコストがかかるかもしっかり分析し検証していく必要があります。
成功事例や失敗事例は他にもあるので、サブスクビジネスを始める前に参考にしてみてください♪
サブスクビジネスを始めるための〇ステップ
サブスクは何も考えず導入しても失敗します。
導入の手順を踏んで、利益の出るサブスクリプションを始めましょう。
STEP1:何を提供するか決める
まずはサブスクリプションでどんな商品・サービスを提供するか決めましょう。
ご自身が行っている事業や得意なことは何かを考え、そこからどんなサービスを提供できるか探っていきましょう。
サブスク市場は規模が拡大していますが、その分競争も激しいです。
今までにないサービスかつ需要のあるものでないと利用者が集まらないので、市場調査も大事です。
STEP2:サービスの提供方法・頻度を決める
サブスクでのサービス提供方法はいろいろあります。
定期レンタル・定期配送・し放題・代行サービスなどなど、あなたが提供したサービスに合わせて決めていきましょう。
また、サービス提供頻度も考えましょう。
月額なのか年額なのか、はたまた1回ごとの利用も可能にするのか。
選択肢を複数提示して、ユーザーが選べるようにするのもいいと思いますよ!
STEP3:ネットショップを開設する
提供するサービスの詳細が決まったら、次はいよいよネットショップの開設です。
ネットショップはネット上での店舗なので、ユーザーが見やすく使いやすいものを心がけましょう。
「一からデザインするのは難しい!」という場合は、テンプレートがいくつか用意されたネットショップ作成サービスを使いましょう。
ある程度デザインが決められているので、ユーザー目線で見やすいサイトを簡単に作ることができますよ。
STEP4:作ったサービスを発信する
作成したサービスは、認知されなければ使ってもらえません。
利用者が増えないとサブスクサービスを続けていけなくなってしまうので、サービスを始めたらできるだけたくさん宣伝しましょう。
- SNSで告知する
- 広告を打つ
- 店舗にチラシを貼っておく
- LINEサービスなどを使って告知する
STEP5:顧客の管理・分析を行う
顧客が増えてきたら、サブスクサービスをより良いものにして顧客満足度を上げるために管理と分析を行いましょう。
顧客情報の管理・毎月の売上確認・退会率の分析などを行うことで、サービスをいい方向に変えていくことができ、既存顧客からの口コミで新規顧客の獲得にも繋がります。
好循環が狙えるので、作って放置しないようにしましょう。
サブスクリプションで安定した利益を得よう♪
サブスクリプションは今後もいろんな業界が参入していくと思われます。
これ以上競合他社が増える前に、ブルーオーシャン市場がある内にサブスクリプションに挑戦してみてください!
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