CDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)をご存じですか？
CDNは、ユーザビリティを高めるのに役立ちものです。
どういうものなのか、導入メリットなどを知っていきましょう！
CDNとは
CDNとは、「コンテンツ・デリバリー・ネットワーク」の略で、webコンテンツを迅速にユーザーへ届けるためのネットワークです。
動画配信やアクセス集中など、サーバーの応答に時間がかかりそうな場合でもユーザーにストレスを与えることなくコンテンツ配信ができます。
サイトの表示にかかる時間を短縮し、大量アクセスがあるネットワーク環境でも安定したコンテンツ配信が可能になるのです。
CDNの仕組み
CDNは、数多くのキャッシュサーバーなどで構成されたプラットフォームを設置し、その中でたくさんのキャッシュを作り出します。
キャッシュサーバーは複数台のサーバーが用意されており、分散してデータ送信を行うため大量のリクエストを受けることができるという仕組みです。
通信回線においても大容量データ送信ができるような設備になっているため、コンテンツを高速でユーザーに届けることができるのです。
CDNを導入することで、オリジンサーバー(オリジナルコンテンツを格納するサーバー)はキャッシュサーバーにコンテンツをキャッシュするときにのみデータ送信が行われるようになるため、オリジンサーバーへの負荷も大きく軽減されます。
そのため、オリジンサーバーのスペックが低くてもCDNで補うことができるのです。
CDNの導入をおすすめするケース
CDNの導入を行った方がいいケースもいくつかあります。
自社が当てはまっているか確認してみてください。
webサイトの表示速度が遅い
Webサイトの表示速度が遅いと、ユーザー満足度が下がって離脱率が高くなってしまいます。
Googleからの評価も低くなるので、CDNを使って高速表示を実現させましょう。
動画配信をする機会が多い
動画はサーバーへの負荷が大きいので、webサイトの表示や動作が遅くなってしまいます。
サイト内で動画配信をする機会が多いようなら、CDNを導入してサーバーの負荷を軽減することをおすすめします。
広告による大量アクセスが起こりやすい
広告によって大量アクセスが発生してしまうと、サーバーに負荷がかかってサイトが表示されないユーザーが出てしまいます。
そうなると、広告による購買行動を低下させてしまい、機会損失が発生します。
CDNでサーバーへの負荷を減らし、機会損失をなくしましょう。
ワードプレスを利用している
Webサイト運営でよく利用されるワードプレスですが、サーバーへの負荷が大きいことで知られています。
というのも、ワードプレスはサイトが表示されるたびに表示用のHTMLファイルを生成する動的コンテンツだからです。
サーバーへの負荷を減らしてスムーズに表示されるように、CDNを導入しましょう。
ライブラリーを多用している
JavaScriptを簡単に記述できる「jQuery」や「React」などのライブラリーを多用していると、サーバーに負荷がかかりやすいです。
ライブラリーを多用している場合は、CDNを導入して負荷を軽減させた方がサイトの動きが良くなるでしょう。
海外展開している
事業を海外展開している場合、海外からのアクセスも多くなりサイトの速度が遅くなる可能性があります。
CDNを導入することで、海外からのアクセスが増えても変わらない速度でユーザーに利用してもらうことができます。
CDNを利用するメリットとは？
ページの表示速度を上げられる
CDN導入の一番のメリットは、ページ速度を上げられる点です。
ページ速度が速いとユーザー満足度も高まり、訪問者も増えます。
逆に表示が遅いと、ページに訪問する前に離脱するユーザーも増えていきます。
CDNを導入することで、そのような機会損失を防ぐことができます。
サーバーの負荷を分散できる
CDNでは、オリジンサーバーの手前に複数のキャッシュサーバーで構築されたプラットフォームを設置するため、サーバーの負担を分散できます。
サーバーの負荷が軽減されると、アクセスが集中してもサイトが表示されないといったトラブルがなくなり、ユーザー満足度の向上につながります。
SEO対策になる
サイトの表示速度が速いと、Googleからの評価も高くなります。
それにより、表示順位が上がってアクセス数も多くなります。
結果的にユーザー数を増やすことにつながるので、CDNで速度を改善するメリットは非常に大きいのです。
DoS/DDoS攻撃に強くなる
DoS/DDoS攻撃とは、特定のサイトに大量のデータを送信してサーバーをダウンさせ、サービスを提供できなくする攻撃です。
この攻撃を受けると、利益の減少や企業の信用度が低下してしまいます。
CDNではキャッシュサーバーがこの攻撃を受け止めてくれるため、メインのオリジンサーバーへの影響を防ぐことができます。
サーバーの運用コストを削減できる
データ配信に必要な帯域幅やサーバー維持費用がCDNによって縮小するため、運用コストを削減できます。
表示速度を高めるだけでなく、コスト面でもメリットがあるのです。
利用する上でのデメリット・注意点
メリットが大きいCDNですが、デメリットや導入する上での注意点も存在します。
ぜひ確認していってください。
古いコンテンツが表示されることがある
CDNではwebサイトの変更がすぐに反映されないことがあります。
前にキャッシュしたコンテンツが一定期間残るため、古いコンテンツが表示されて最新情報がユーザーに届かないことがあります。
ニュースサイトのような最新情報の提供が重要なサイトでは、特に注意が必要です。
キャッシュや更新の設定を適切に行い、回避しましょう。
個人情報が洩れる恐れがある
CDNのキャッシュには、個人情報が含まれる場合があります。
これが一定期間保存されるので、不正アクセスされた場合個人情報漏洩につながるリスクがあります。
CDNを導入する際は、キャッシュの削除設定も徹底しましょう。
アクセスログが取得できないことがある
CDNを導入すると、オリジンサーバーからのアクセスログの取得が難しくなる可能性があります。
それにより、ユーザー行動の分析やモニタリングなど、データ分析に必要な情報が取得できなくなってしまいます。
CDNの中にはログファイルを提供する機能があるものもあるので、導入前にしっかり確認しましょう。
CDNを利用する方法
CDNを導入する場合、導入方法は２つあります。
- CDN専門業者(CDNベンダー)を利用する
- レンタルサーバーを利用する
それぞれの主要業者を見ていきましょう。
CDN専門業者(CDNベンダー)
Akamai
世界最大規模のグローバルプラットフォームを運営するアメリカの会社。
130以上の国の2万台以上のサーバー群によって構成される「Akamai Intelligent Platform™」を提供しています。
Akamaiは、世界各地に大規模サーバーを構築しているため、近くのサーバーに保存されているコンテンツをすぐに配信できます。
そのため高速表示が可能であり、サーバーの負荷も軽減できます。
LINEやANA、関西電力など大手企業で使われているCDNベンダーです。
Amazon CloudFront
AWS(Amazon Web Services)が提供しているCDNサービス。
AWSサービスとの連携がしやすいため、既にAWSサービスを利用している企業におすすめです。
完全従量課金制なので、初期費用がかからない点もポイントです。
日本国内での導入実績が多いため、必要な情報が入手しやすく安心して利用できます。
「オリジンフェイルオーバー」という機能があり、万が一オリジンサーバーがダウンしてしまった場合でも、自動で別サーバーに切り替わります。
災害時などにも安心して利用できる機能です。
CloudFlare
CDNやセキュリティサービスを提供しているアメリカの企業のサービスの一つ。
日本でも導入実績が多く、導入支援サービスもあります。
Webサイトのパフォーマンス向上とセキュリティ強化ができるという特徴があります。
Cloudflareでは、脆弱性を狙った攻撃からサイトを守る「WAF」機能が標準搭載されています。
従来のファイアウォールでは防げない攻撃も防いでくれるので、安全な環境でサイト運営が行えます。
レンタルサーバー
さくらのレンタルサーバー
さくらインターネット株式会社が提供するレンタルサーバーになかには、「コンテンツブースト」という機能があります。
これはCDNのことで、CDNとレンタルサーバーを自動連携することでwebサイトを高速表示できます。
コンテンツブーストは、レンタルサーバーの契約者であればだれでも利用できます。
ライト・スタンダードプランで月100GBまで、ビジネスプラン以上・さくらのマネージサーバーで月300GBまで無料で利用できます。
ただし、設定できるドメインに制限があるため、そこは注意が必要です。
エックスサーバー
エックスサーバー株式会社は、「Xアクセラレータ」というCDNサービスを提供しています。
Xアクセラレータは、webサイトの表示速度を高め、かつ安定させるためのものです。
2つのバージョンが用意されているので、webサイトの状況に応じて選択してください。
- XアクセラレータVer.1：静的ファイルの高速化(キャッシュ)
- XアクセラレータVer.2：静的ファイルの高速化(キャッシュ)＋PHPプログラムの高速化
Xサーバーの利用者であれば、無料で利用できます。
このように、CDNを提供している企業は数多くあります。
それぞれの違いを確認し、一番導入しやすいサービスを選びましょう！
高速表示でユーザーのストレスをなくそう！
サイトの高速表示、エラーの回避はユーザー満足度の向上につながります。
CDN導入の手間はかかりますが、メリットが非常に多いので、できればすぐにでも導入を検討してみてください！
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