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電子印鑑を使おう!使用方法や法的効力、注意点教えます。

コロナウイルス感染症の影響で広がっているテレワークにより、印鑑の電子化を検討している企業さんも多いのではないでしょうか。

印鑑を押すためだけに出社したり、取引相手のところに行ったりするのは手間ですし、なによりその異動で感染しそうですよね。

その問題を解決するのが電子印鑑です。

パソコンの中で印鑑を押すことが出来るため、人の移動も発生しない上にお互いにやり取りが楽です。

今回は、これからも需要が増えていくと予想される電子印鑑についてご説明していこうと思います!

電子印鑑とは?使用時のメリット、デメリット

電子印鑑ってどういうもの?

電子印鑑とは、印刷前段階の書類に押すことができる印鑑のことです。

パソコンで作成中の文書やスキャナーで取り込んだ文書にも押すことができるので、今までのように書類全てに捺印する必要がなく仕事効率が上がります。

メリット
仕事の効率が上がる

パソコンで捺印をしてしまえば、それを必要に応じて印刷すればいいだけです。

書類1枚1枚に捺印する必要がなく、また承認者が出張などで離れた場所にいる場合もパソコン上で印鑑をもらうことが出来るため、会社全体の仕事効率が上がるのです!

ペーパーレス化の促進

今までは、契約書や申請書など、その都度印刷して渡していたと思います。

しかし、パソコン上でやり取りができるため、無駄に紙を刷る必要もなくなるのです。

机の上の書類の束がなくなれば、スッキリして頭も整理されるため一石二鳥です。

パソコン上で保管が可能

パソコン上でデータの保管が出来るため、書類の破損や紛失のリスクがなくなります。

保管場所がすぐにわかるのは、仕事の効率化にも繋がりますよね♪

コストの削減

電子印鑑を利用するようになれば、印鑑を作るコスト・保管する場所・書類の山などなど、社内の様々なものを削減することができます。

そのため、会社の不要なスペースをなくして費用を抑えることができます。

デメリット
自分で作成する必要がある

電子印鑑は、作成ツールを入れて自分で作成する必要があります。

しかし、テンプレートが登録されているツールもあるので、オリジナル性を出したい場合でなければ簡単な操作で作成することできます。

セキュリティ上の問題

誰でも簡単に作れる印鑑ツール、無料のものなどは契約書などに押しても法的効力がない場合がほとんどです。

理由は、誰が押しているのか分からないためです。

法的効力を持つ印鑑を作成する方法は、次の項目「法的効力はあるの?実印と同じ効力にするために必要なもの」で説明しているのでご覧ください。

まだまだ理解者が少ない

電子印鑑の作成が簡単になってきているとはいえ、まだ浸透はしていません。

特に、老舗の会社や考え方が固い会社は、重要な書類は直接印鑑を押さないと信用できない!という考えを持っていることも少なくないです。

そのため、電子印鑑を許可してくれない場合もあります。

今や時代は5Gに向かって突き進んでいます。世界の変化に対応するためにも、「印鑑、署名は電子が当たり前」という世界になればいいと思います。

法的効力はあるの?実印と同じ効力にするために必要なもの

電子印鑑は2種類!

電子印鑑には、『押印した印影画像データの印鑑』『印影データに印鑑の持ち主、作成者、タイムスタンプ情報が組み込まれた印鑑』の2種類があります。

押印した印影画像データの印鑑

印影画像データの印鑑は、実際に押印した画像をデータ化して保存することで誰でも簡単に同じ電子印鑑が作れてしまいます。

そのため、法的効力はなく、認印の役割しか果たしません。

情報の組み込まれた印影データ

一方、個人情報を入れてある印鑑は信頼性があります。

その印鑑の持ち主の情報を入れられることはもちろん、ある時刻にその電子データが存在し、それ以降改ざんされていないことを証明する「タイムスタンプ」という情報も組み込むことができます。

そのため、こちらの印鑑は電子印鑑でも信用性が高く、実印と同じ法的効力があるのです。

電子化が可能な文書について

まず、平成17年4月1日に施工された「e-文書法」により電子化が可能であると認められた文書の一部をご紹介します。

・契約書

・見積書

・納品書

・請求書

・検収書

・領収書

会計帳簿

・事業報告書 など

出典元:経済産業省

https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11126101/www.meti.go.jp/policy/it_policy/e-doc/guide/nyumon3.html

これ以外にも可能な文書はありますが、これを見るだけでも企業で普段必要となる書類の多くは電子化が可能なことが分かります。

電子化できない文書について

また、法律上電子化を禁止されている文書もあります。

・定期借地、定期建物賃貸借契約、宅地建物売買等媒介契約、重要事項説明

・訪問販売等特定商取引における交付書面

・労働者派遣個別契約

・取締役会議事録

建物の貸し借りは電子でのやり取りだとトラブルが起きやすいのでしょうか。とにかく、上記の文書に関しては書面が必要になるので要注意です。

また、書面の電子化に相手の承諾や希望が必要になる文書もあります。

≪承諾が必要≫

・建設請負契約

・下請け会社に対する受発注書面

・投資信託契約約款

・不動産特定共同事業契約成立前の書面、成立後の契約内容説明書面

≪希望が必要≫

・派遣労働者への就業条件明示書面

・労働条件通知書面

このように、相手側にとって重要となる書面は、勝手に電子化して済ませてはいけない決まりがあるようです。

これを知らず、取引相手とトラブルにならないように注意しましょう!

署名も電子で!その仕組みや電子署名の方法は?

電子印鑑の外に、電子署名もあるのをご存じですか?

電子印鑑との違いは何でしょう。その仕組みと法的効力についてお話します。

電子署名の仕組み

電子署名は、データの暗号化、電子証明書の利用を行うことで、「その署名が誰によって行われたものか」「データの改ざんはないか」などを確認して信用性を持たせるものです。

電子印鑑よりも複雑なので、信用性は抜群です。

1.「ハッシュ関数」と言う特殊な関数を使って電子文書のハッシュ値※を計算する

※ハッシュ値…あるデータを、ハッシュ関数から演算して出した値。

同じ元データからは同じハッシュ値が得られ、少しでも違うデータから同じハッシュ値が得られることはほぼ皆無。

尚、ハッシュ値とハッシュ関数から元データを算出することはできない。

2.秘密鍵を使ってハッシュ値を暗号化する

3.電子証明書を使って電子署名を行い、文書に添付する

4.電子署名付き暗号化ファイルを送信(この時、電子証明書と公開鍵も一緒に添付する)

5.受信者は、送られてきた電子文書のハッシュ値を使って計算する

6.送られてきた公開鍵を使って、電子署名に含まれているハッシュ値を複号

7.[5]のハッシュ値と[6]のハッシュ値を比較する

8.両者が一致すれば、

➀公開鍵に対応した秘密鍵の持ち主によって電子文書が作成されたこと

➁秘密鍵の持ち主以外の第三者にデータが改ざんされていないこと

この2つが証明される

9.この公開鍵が本物であるか確認するために、「電子証明書」を認証局で確認してもらう

この9つのステップを経て、無事本人の署名であると確認できるのです。

実際に署名を行う場合には考えられないくらい手間がかかるように思いますよね?

しかし、ほとんどパソコン上で処理してくれるため、そこまで時間はかかりません。

これを見て分かるように、手間がかかっている分信用性が高く、実印と同じくらいの公的効力があるのです。

電子証明書が必要!?電子署名を行うための2つの方法

電子署名を行うには、認証局が発行する「電子証明書」が必要になります。

電子証明書がなぜ必要なのかというと、こちらはデータのやり取りにおいて本人確認の役割を果たすからです。

電子証明書は、書面上の手続きで言う印鑑証明書と同じなのです。

電子署名を行う方法は2つあるので、紹介します。

1.電子証明書を発行する

自分で電子証明書を発行することが出来ます。

認証局に電子証明書の入手申込手続きを行い、電子証明書を発行してもらいます。

それを使って電子署名を行います。

しかし、電子証明書を取得するのは少し手間がかかるので、取引者の片方のみが発行すればいい行政手続きのオンライン申請などで使用されています。

認証局一覧https://www.e-gov.go.jp/help/shinsei/flow/setup04/manu_certificate.html

2.クラウドサービスを利用する

現在よく使われている方法で、そのためのクラウドサービスがたくさん存在しています。

仕組みとしては、まず、取引を行う両者がクラウドサービスにログインして、クラウドサービス上に保管してある書類を確認し、「合意」を行います。

両社が合意したことを確認したサービス側は、その書類にクラウドサービス提供会社の電子署名とタイムスタンプを添付してくれます。

第三者の電子署名により、お互いが合意したことを証明します。クラウドサービス提供会社の署名は、当事者の署名と区別するために「電子サイン」と呼ばれることがあります。

クラウドサービスであれば、サーバー機器などの導入、管理コストがかからず気軽に利用開始できるのが魅力です。

下記の記事では「Docu Sign」というクラウド型電子署名サービスをご紹介しているので、よかったら見てみてくださいね♪

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電子印鑑を利用する際に気を付けること

電子印鑑を使う際、特に気を付けなければいけないことは何でしょう。

注意すべきことを3点お伝えします。

電子印鑑でも可能か取引相手に事前に確認する

デメリットでもお伝えしたように、電子印鑑が浸透している企業はまだまだ少ないです。

そのため、書面での捺印じゃないと安心できないと思う方も少なくないでしょう。

そういう場合を考えて、電子印鑑での取引を行う場合は事前に相手に了承を得るようにしましょう。

もし電子はNGだと言われたら、素直に従って書面でのやり取りを行うようにしましょう。

そうすることで、無用なトラブルを避けることが出来ます。

セキュリティ面をしっかりする

ネット上でのやり取りとなると、やはり怖いのはサイバー攻撃です。

印鑑を押した書類をメールで送る際にウイルス感染する、内容を改ざんされる、第三者によるなりすましなど、サイバー攻撃といっても様々な攻撃方法があります。

これらの攻撃を防ぐには、やはり文書を暗号化したり証明書を添付する必要があります。

電子印鑑を押した書類をメールで送る際は、必ず暗号化を行うようにしてくださいね。

電子印鑑、署名は場合によって使い分ける

電子印鑑には、認印として使えるもの・実印として使えるものの2種類があります。

法的効力があるのは実印として使えるものだけなので、場面によって使い分けるようにしましょう。

社内提出書類でそこまで重要ではないものには認印、取引先に送るものは実印と同等の電子印鑑を使うようにしましょう。

また、さらに重要なものには電子署名を行うことで印鑑よりも信用性が増します。

まとめ

電子印鑑、署名の仕組みや違い、法的効力について理解できたでしょうか。

それでは、内容のまとめです。

ここがポイント

印鑑とは、書類でのやり取りをせずにネット上で押すことのできる印鑑のこと。

 

効率が上がる、ペーパーレス化、保管が楽などのメリットあり

 

電子印鑑には、認印の役割と実印の役割を果たす2種類がある

 

電子印鑑が利用できる書類とできない書類がある

 

電子署名もできる→電子証明書が必要

 

電子印鑑は、事前の承認・セキュリティ面・使い分けの3つを注意する必要がある

テレワークが日常化した際には、電子での重要書類のやり取りが普通になるでしょう。

その時、慌てて調べた浅い知識のまま取引を行うことのないよう、今の内から知識をつけておきましょう。

それだけで、他の企業よりもリードできますよ♪

もう一つの記事では、電子印鑑、署名に使えるツールをご紹介しているので、これから始めてみようと思っている方はぜひとも参考にして下さい。

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