「オレオレ詐欺」など、電話での詐欺は昔からある手法です。
しかし最近は、最新技術を用いた詐欺電話が増えています。
事例を見ながら、一体どんな詐欺内容なのか、電話かかってきた時や出てしまった時の対処法などを知っていきましょう。
最近の電話詐欺は、自動音声を使ったものが主流!
生成AIが発達している近年、自動音声を使った電話詐欺が増えています。
総務省やNTTファイナンスを名乗って、料金の確認が取れない等の内容で自動音声が流れ、ボタン操作の誘導をしたり指定の番号へかけさせたりする詐欺が流行っています。
このような詐欺では、+から始まる電話番号(国際電話など)からかかってくることが多いようです。
音声ガイダンスを使って「未納金」「裁判」「法的処置」などの不安を煽るような音声が流れ、電話に出た人を焦らせて判断を鈍らせます。
その後操作をすることで、名前や住所、口座番号などの入力を促されます。
または、オペレーターを名乗る人物と通話することになり、そこで金銭を要求されます。
一度金銭を支払ってしまうと「カモリスト」に電話番号が載ってしまい、次々に他の詐欺電話がかかってきてしまうので、絶対に指示に従ってはいけません。
もし住所や名前を教えてしまった場合、強盗に遭う可能性も高まります。
自動音声による詐欺はニュース番組のZIPでも取り上げられており、被害が拡大していることが分かります。
次の項目では、自動音声詐欺の事例を紹介するので、どんな電話がかかってくるのか把握し、被害に遭わないように備えましょう!
自動音声詐欺の相談事例
総務省を名乗る自動音声
電話に出たら、総務省を名乗る自動音声が流れて、「お客様がご利用されている携帯電話は、2時間以内にご利用停止となります。ご不明点がございましたら、1番を押して問い合わせてください。」
などの電話がかかってきます。
1番を押すと、総務省を名乗る人物が電話口に出て、
「あなた名義の携帯電話が詐欺に使われています。」
「あなたの携帯電話から投資や詐欺の迷惑メールが大量に送信されています。」
「○○警察から連絡があります。」
などと言われます。
その後、警察や検察官を名乗る人物から電話がかかってきます。
「特殊詐欺グループのリーダーが逮捕され、あなたから口座をもらったと言っており、共犯として逮捕状が出ています。
逮捕されないためには、保証金としてお金を振り込んでください。」
「あなたの口座にあるお金を調べるので、××銀行の口座に送金してください。」
などと言われ、お金をだまし取られます。
NTTファイナンスを名乗る自動音声
自動音声で、
「NTTファイナンスです。料金の未納があるので、電話が利用停止となります。オペレーターにつなぐ場合は2番を押してください。」
「NTTファイナンスです。料金未納につき、法的処置をとることにしました。詳しい説明は1番を押してください。」
「NTTファイナンスです。重要なお知らせがあります。1番を押してください。」
「NTTファイナンスです。料金の未納があるので電話が利用停止になります。今すぐ電子マネーで支払ってください。」
などと電話がかかってきます。
指定の番号を押すと、名前・生年月日などを聴取されたり、支払わなければ裁判所に申し立てると脅されたり、早急な支払いを要求されます。
NTTファイナンスを名乗る詐欺被害が拡大しているため、自動音声ガイダンスで未納金の徴収を行うことはないと知っておきましょう。
東京電力を名乗る自動音声
「東京電力のお得な料金プランに切り替えた場合、どれくらい光熱費が削減できるかの診断検査を行っております。」
という自動音声がかかってきます。
「一戸建て、持ち家の方は1を、アパートやマンション、賃貸住宅の方は2を、もう一度お聞きになる場合は0を押してください。」
番号を選択すると、
「現状よりどのくらい光熱費がお安くなるのか、地域のアドバイザーによる無料シミュレーションをご自宅にて実施しております。無料診断をご希望の方は1を、それ以外は2を押してください。」
と案内があります。
そのままオペレーターにつなぐと、氏名や生年月日などの個人情報を聞かれたり、ショートメッセージが届いて個人情報を入力するアンケートページに誘導されたりします。
東京電力では、そのようなアンケート調査は行っていないとのとこなので、むやみにアンケートに答えないようにしましょう。
このように、大手会社を名乗って情報を聞き出そうとする自動音声の詐欺が増えています。
本当の問い合わせでは、その場で個人情報や口座を聞き出そうとすることはありません。
また、自動音声を使うこともありませんし、不安を煽るようなことは言いません。
すぐに信じずに、自分でホームページから問い合わせをして、状況を確認するようにしてください。
なぜ自動音声を使うのか
犯人たちは、なぜ自動音声を使うのでしょうか。
その理由は大きく2つあります。
1つ目は、相手の警戒心が下がるからです。
人の声だと相手の警戒心が増して、すぐに電話を切られることが多いです。
最近は電話詐欺の情報が広まっているので、人がかけたものは不審に思う人が多いようです。
しかし、大手会社を名乗る自動音声だと、警戒心が下がって最後まで音声を聞く人が多くなります。
それにより、詐欺団体が仕掛けた罠にはまる母数を増やせるのです。
2つ目は、効率よく詐欺電話をかけられるからです。
人がかけると、1回の電話に時間がかかります。
しかし、自動音声を利用すれば同時に複数の相手に電話をかけることができ、詐欺にかける人数が増加します。
そこから最初の罠に引っかかった相手だけに集中すればいいので、効率よく詐欺を進められます。
詐欺も効率化の時代なのです。
電話に出てしまった・・・無視して平気?
もし電話に出てしまっても、指示に従ったりキーパッドを押したりせず、速やかに電話を切りましょう。
そうすれば、個人情報を抜かれることはありません。
しかし、使用中の番号だと知られたので、今後も詐欺電話がかかってくる可能性が高くなります。
これからは知らない番号にはすぐに出ないで検索するようにしましょう。
また、大手企業を名乗ってくるので、「本当に未納だったらどうしよう」と不安になる場合は、自分から公式ページに行って問い合わせてください。
電話詐欺に引っかからないための対策法5つ
では、自動音声はもちろん電話詐欺に引っかからないためにはどうすればいいのでしょうか。
対策方法を知っていきましょう。
知らない番号には出ない
知らない番号から電話が来ても、むやみに出ないようにしましょう。
もし、非通知や国際電話(+から始まる電話番号)がかかってきたら、それは詐欺電話の確率が高いです。
まずは番号を検索して、どういった人や企業がかけてきているのか把握しましょう。
詐欺の情報収集をする
詐欺を把握するには、今どんな詐欺が流行っていて、どんな電話がかかってくるのかを知ることが重要です。
例えば、警察や行政機関、自治体などの公共機関が自動音声で連絡を行うことは一切ありません。
また、NTTファイナンスや東京電力も、自動音声を使った連絡は行いません。
この情報を知っているだけでも、自動音声の電話が来たらすぐにおかしいと気がつけます。
詐欺は変化していくので、常に新しい情報を更新していくことが重要です。
自分で機関に連絡する
電話詐欺は、自動音声以外でもかかってきます。
「すぐに支払わないと法的処置をとる」などと言われても、焦らずに「かけなおします」と言ってすぐに電話を切り、自分で公式ページからその機関に問い合わせてください。
一連の流れを話して、本当ならばまた案内してくれますし、嘘ならば詐欺として対処してくれます。
実際に未納があったとしても脅すようなことは言ってこないので、話し方や言葉遣いも注意深く聞いて冷静に判断してください。
対策サービスを利用する
携帯会社が提供している迷惑電話防止サービスを利用するのもおすすめです。
「電話通知サービス」では、非通知で電話をかけてきた相手に電話通知を依頼するガイダンスを流して自動的に通話を終了するサービスです。
「セキュリティ対策サービス」では、アプリを入れておくことで怪しい電話がかかってきた際に警告が表示されます。
このように、対策サービスを利用することで詐欺電話に出てしまうリスクを下げられます。
不安な場合は、警察や消費者センターに電話しよう
もし詐欺電話に出てしまい、会話内容や情報漏洩に不安を感じた場合は、一人で悩まずに警察や消費者ホットラインに電話して相談しましょう。
警察相談専用電話:#9110
消費者ホットライン:188
途中で詐欺だと気づいた場合も、すぐに電話を切って警察や消費者ホットラインに電話してください。
自動音声はすべてが詐欺なわけではない
自動音声は危険という話をしてきましたが、すべての自動音声が詐欺電話というわけではありません。
公式機関が自動音声を使ってアンケートを行うこともあります。
どんな場合に自動音声が使われているのか知っていきましょう。
世論調査アンケート
世論調査をするために、自動音声でランダムに電話をかけ、アンケートを行います。
効率的に広範囲の消費者にアクセスできるため、自動音声が利用されています。
アンケートの目的が明確であり、調査内容が家族構成・性別・職業・年齢などの抽象的で個人を特定できないものである場合は、世論調査アンケートである可能性が高いです。
住所や名前、口座番号など、個人情報を聞き出してくる電話は詐欺の可能性が高いので、そこで区別しましょう。
アンケートへの回答は任意なので、少しでも怪しいと思ったらその時点で電話を切ってください。
健康チェック
定期的な健康チェックや医療機関の最新情報を提供する際にも、自動音声が使われます。
体温や症状の確認を行い、異常があれば医療機関に通知するシステムになっています。
体温や症状を聞くだけなので、個人情報を聞かれることはありません。
電話での定期チェックは、ネット利用が苦手な高齢者にもアプローチできる方法として利用されています。
緊急情報の通知
災害などの緊急時に幅広い層に効率的に情報伝達ができるということで自動音声が利用されています。
迅速な避難指示や災害状況を伝達するために役立ちます。
企業のマーケティングアンケート
企業が新商品のプロモーションや、世間のニーズを知るために自動音声が利用されています。
一気に幅広い層に伝達できるので、ターゲット層に効率的にアプローチできるというメリットがあります。
性別や興味があるものなど、こちらも個人を特定する質問は聞かれません。
このように、自動音声が全て悪いものとは限りません。
しかし、このようなアンケート調査と銘打って個人情報を引き出そうとする詐欺電話も存在しています。
自動音声にはできる限り応答しない方が、詐欺被害を防げるでしょう。
知らない番号にはむやみに出ないこと!
第一として、見覚えのない番号、非通知、国際電話には出ないようにしましょう。
ちゃんとした会社の場合、電話番号を調べれば出てくるので、信頼のおける機関か確認してから折り返してください。
詐欺から身を守れるのは自分自身です。
周りの人はこちらから助けを求めないと気づいてくれないので、自分で情報を集めて、詐欺に引っかからないように対策していきましょう。
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