近年、MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)が次世代の効果測定手法として注目を集めています。
その理由はなんなのか、MMMはどういったマーケティング手法なのかをここで確認していきましょう。
MMMとは
MMMとは「マーケティング・ミックス・モデリング」の略で、マーケティング施策のどの活動が売上に影響を与えたのかを統計学的に分析する手法です。
どのチャネルが一番売上に貢献しているのかを把握することができるので、マーケティング施策において適切な行動をとることができます。
MTAとの違い
MTAは「マルチタッチアトリビューション」の略で、コンバージョンに至るまでの全てのタッチポイントを特定し、その貢献度を計測するマーケティング手法の一つです。
MMMもMTAもマーケティング施策の売上貢献度を分析するものですが、分析のベースとなる情報の部分が異なります。
MMMは「売上に貢献する要因の時系列ごとの連動性」をベースにしており、MTAは「各タッチポイントの接触データ」をベースにします。
MMMはオンラインとオフラインのデータを組み合わせて分析することができますが、MTAはそれらのデータを組み合わせて分析はできません。
そのため、MMMの方が分析解像度が高いと言えます。
MMMの特徴
では、MMMの特徴を見ていきましょう。
外部要因も分析対象になる
MMMでは、自社ではコントロールできない外部要因も分析することもできます。
外部要因とは、競合他社や天候、季節などのマーケティング施策や売上に影響を及ぼす要因のことです。
いくらマーケティング施策がうまくいっていても、これらの要因によってうまく売上に繋がらない場合があります。
例えば、アイスは冬より夏の方が売上が高いですよね。
これはマーケティング施策がどうというよりも季節的要因が大きいです。
MMMではこれらの外部要因も含めて分析ができるので、より効果的な施策を打つことができるのです。
将来の計画立案に利用できる
MMMは過去のデータを分析するものですが、そのデータを用いて将来の計画立案を行うことが新の目的です。
MMMの分析結果を参考に計画を立てたり、既にある計画の変更をしたり、予算を調整したりとマーケティング施策の様々な部分に貢献できます。
個別のユーザー情報を用いずに分析できる
通常、マーケティング施策の効果分析をするには個別ユーザー情報が必要になります。
しかし、MMMではそれを用いずに広告出稿量などのマーケティングデータと売上などの自社の実績データがあれば分析することができます。
現代においてMMMが注目される理由
MMMは外部要因も含めて分析ができるなどマーケティング施策の最適化に繋がりやすいことから、アメリカではMMMの導入が進んでいます。
アメリカの会社では、社内にMMMの専門チームが設置されている企業やMMMを提供する企業も増えているようです。
日本ではMMMの導入が遅れていましたが、サードパーティクッキーの規制により注目度が上がっているようです。
サードパーティクッキーの規制により、細かいユーザーデータが取れなくなってしまいました。
MMMはサードパーティクッキーを利用しなくてもデータ分析ができるため、日本でも関心が高まってきているのです。
しかし、日本ではまだMMMをうまく活用できている企業が少ないそうです。
その理由は、クッキーのように「できたものを見る」のが通常になっているため、統計処理などで出てきたデータを扱うノウハウがないためです。
海外の企業は社内にデータサイエンスチームを設けている企業が多いため、そのようなデータを見やすいようにする土台が整っているため、MMMの導入もスムーズにいっているのです。
しかし、サードパーティクッキーによる細かなデータ分析ができなくなった今、強豪との差別化を図るためにもMMMをうまく活用していく必要があるのです。
MMMのやり方
MMMはどのように進めていけばいいのでしょうか。
手順を知っていきましょう。
➀分析ロジックを決める
まずは分析ロジックを決めます。
分析方法には重回帰分析・パス解析など、様々な種類があります。
重回帰分析は、ある結果に対する複数の要因のうち、どの変数がどの程度結果に影響を与えているのかを数値化し、将来の予測を行う手法です。
パス解析は、経験や仮説に基づいて目的変数と説明変数の関係を図で表し解析する手法です。
目的に合わせて分析手法を選びましょう。
➁過去に実施したマーケティング施策と外部要因を洗い出す
過去に実施したマーケティング施策と外部要因を洗い出します。
マーケティング施策は必要があれば細かく分解し(インスタグラム広告A、インスタグラム広告B等)、次の段階で使いやすくします。
外部要因については、競合の動き、天候、季節、大型イベントなど、自社でコントロールできないものでマーケティング施策に影響を与えると考えられるものは全て洗い出しましょう。
③洗い出した施策を振り分ける
過去のマーケティング施策と外部要因を洗い出したら、消費者の購買行動の各段階に振り分けます。
消費者の購買行動は、「注意・認知」「関心」「欲求」「記憶」「行動」の5段階に分けられます。
この段階に合った施策を振り分けてから行動に移すことで、より効果の高いマーケティング施策を行うことができます。
④データを収集する
行った施策のデータ収集を行います。
各マーケティング施策のデータ、外部要因のデータ、成果のデータを日次や月次単位で収集してください。
⑤分析し、変更・調整を繰り返す
収集したデータを基に、選定した分析ロジックで分析を行います。
想定外の外部要因などもしっかり組み込み、細かいデータも分析要因として入れ込みます。
そうすることで分析の精度が高まっていきます。
分析によって出た結果をもとに、施策の改善をしていきます。
データ収集・分析・改善を繰り返すことで、より効果的なマーケティング施策を実行していくことができます。
MMMを使う上で注意すること
専門知識が必要
MMMでは、データ収集前の構造作りからデータ分析まで全て行わなければいけません。
そのため、高度な統計の知識やモデリングの知識が必要になります。
社内に情報システム部などの専門部署を設置する必要性も出てくるので、コストもかかることを念頭に入れておきましょう。
しっかりした分析をしないといいデータが得られない
MMMでは、使うデータが足りないと正しい結果を得られないようです。
また、変数をたくさん使うため、変数同士で相関するものも出てくるようですが、これを無視して分析を進めてしまうと統計的に正しくない数値が出てしまうようです。
このように、正しい分析を行わないとマーケティング施策に効果的なデータを得られないので注意してください。
MMMが分析できる領域を把握すること
MMMは、消費者調査のように消費者の購買心理の変化を見ることはできません。
購買心理の変化を知ることで、自社が行ったマーケティング施策の意図が正確に伝わったか、意図通りの反応をもらえたかを把握でき、次のマーケティング施策に繋げられます。
MMMは施策の成果を見ることができるので、これに消費者調査を組み合わせることで、より具体的で分かりやすい分析ができるでしょう。
MMMのできることを把握し、他の分析と組み合わせることで、より効果的なデータ収集と分析を行うといいと思います。
まとめ
今回は、注目を集めている分析手法であるMMMを紹介しました。
専門知識がないとなかなか活用しにくい分析方法ではありますが、他社と差をつけるものであることは間違いないです。
MMMを活用して、より効果の高いマーケティング施策を行っていきましょう。
オフィ助では、週1で役立つ記事を更新しています。
オフィス関連の内容はもちろん、マーケティングなど最新情報も発信しています。
無料で登録できて、最新情報をいち早く入手できるので、ぜひ一度登録してみてください♪
コメント