新技術コラム

【初心者向け】注目の蓄電池とは?仕組みやメリット、発電機との違いなど簡単に解説

今年2022年6月、政府は7年ぶりに節電要請を出しました。

節電が叫ばれている世の中で、蓄電池の需要が増えてきています。

 

まだ蓄電池をよく知らない方が多いと思いますが、節電で毎月の電気代を下げることにも繋がります。

この記事では蓄電池の基礎と分かりやすく解説しているので、ぜひここで知識を入れていってください。

 

蓄電池とは

蓄電池とは わかりやすく 仕組み

蓄電池は、電気を充電して貯めておき、災害時など必要な時に使うことができる装置のことです。

何回でも電気を貯めることができ、災害時だけでなく節電にも役立ちます。

 

太陽光発電と相性がいいため、太陽光発電で発電した電気を蓄電池に蓄えておき、夜間でその電池を使うことで電気の自給自足を促進することができます。

 

発電機との違い

蓄電池は電気を自ら生み出すことはできず、他が作り出した電気を蓄えることに特化した装置です。

一方、発電機は電気を蓄える力はありませんが、電気を生み出すことができる装置です。

 

この二つは名前は似ていますが、役割は全然違うことを覚えておきましょう。

 

家庭用蓄電池と産業用蓄電池の違い

一番の違いは、やはり容量です。

 

家庭用蓄電池は最大でも7kWhですが、産業用蓄電池は15kWh~と、そもそもの蓄電量が異なります。

産業用は工場やオフィスビル、公共施設、ショッピングモールなどで使われることが多いようです。

 

寿命

蓄電池の寿命は10~15年が目安となります。

 

また、耐用年数(ここまでなら問題なく使用できますよという目安の数字)は6年ですが、耐用年数を過ぎたとしても問題なく使用できるケースが多いです。

 

しかし、劣化はしていっているので長く使い続けるためには

  • 高温の場所で使わない
  • 適切な電流・電圧で使用する
  • 容量を超える充電はしない

など、蓄電池を劣化させない工夫が必要です。

 

蓄電池はこういう仕組みになっている!

蓄電池の充電・放電の仕組みについて解説します。

蓄電池は、電解液とプラス極とマイナス極の金属から構成されています。

 

プラス極にはイオンが溶けにくい金属が用いられており、マイナス極にはイオンが溶けやすい金属が用いられています。

マイナス極の金属がイオン化して電子を放出し、プラス極へ流れることで放電するため電気を使用することができます。

放電している時、マイナス極の金属が電解液に溶け出しており(析出という)、全て溶けだすと放電が終了します。

 

逆に、プラス極の金属が電解液に溶け出しマイナス極に電子が流れ込むと、充電することができます。

 

普通の電池とは違い、電子を両方向に流して放電だけでなく充電のできるのが蓄電池の特徴です。

 

蓄電池はなぜ注目されているの?

蓄電池が注目され、導入率が増えている理由はいくつかあります。

  • 災害が増えている
  • 省エネ・節電意識が高まっているから
  • 太陽光発電の固定価格買取期間が終了するから

 

ひとつずつ見ていきましょう。

 

災害が増えている

近年、地震・大雨・土砂災害など自然災害の発生率が上がってきています。

地震に関しては、2022年1月初めから3月末の間で568回も発生しており、最近も石川県で震度5以上の地震が連続で起きています。

 

このような状況にあるため、災害時も電気に困らないよう蓄電池の導入をする人が増えていると考えられます。

 

省エネ・節電意識が高まっているから

世界で広まってきているSDGsやカーボンニュートラルの影響もあり、人々の省エネ意識が高まってきています。

元々燃料資源を輸入に頼ってきている日本では、省エネ政策が積極的に行われてきていますが、世界的な意識の変化によりますます意識されています。

 

太陽光発電の固定価格買取期間が終了するから

固定価格買取制度(FIT制度)とは、再生エネルギーで発電された電気を、電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束した制度です。

この制度があるため太陽光発電を取り入れた家庭も多いと思いますが、2009年に制度が開始しその買取期間は10年と定められているため、2019年から順次終了(卒FIT)していきます。

 

卒FIT後に太陽光発電で発電した電気の使い道の一つとして、蓄電池に充電して家庭用の電気として使うという方法です。

太陽光発電で発生させた電気を蓄電池に充電しておくことで節電できますし、常に貯えておけば災害時に活用できます。

 

このことから、太陽光発電を行っている人たちの蓄電池導入が進んだのです。

 

蓄電池のメリット・デメリット

蓄電池とは メリットデメリット

家庭用蓄電池、産業用蓄電池両方のメリットデメリットをご紹介します。

 

メリット

【家庭用】

節電になる

深夜の電気代が安くなるプランを契約することで深夜の安い電気を蓄電池に充電し、昼間はその電気を使って生活することでかなりの節電ができます。

 

災害時に役立つ

蓄電池で電気を充電しておくことで、停電や災害時も電気に困ることがなくなります。

真夏にエアコンや扇風機が使えなくなると熱中症のリスクも上がりますし、災害時に電気が供給されるか否かはとても重大なことなのです。

災害時に使用することを想定している場合、4kWh以上の容量がある蓄電池を選びましょう。

 

また、停電時に家の電気全てを補える全負荷型と、決めて置いた場所のみ電気が供給される特定不可型があるので、家族の数や必要数に合わせて選びましょう♪

 

電気自動車と連携できる

トライブリッド蓄電システムを使えば、太陽電池と蓄電池と電気自動車内蔵蓄電池を上手に組み合わせることで、造った電気を電気自動車の充電に回すことができます。

電気自動車の充電は、今までは家庭用電気か太陽光発電に限られていました。

 

しかし、それだと電気代がかさんだり、昼間にしか充電できないなどのデメリットがありました。

トライブリッド蓄電システムを使うことで、昼間に太陽光発電で作った電気を蓄電池に貯めておき、夜でも電気自動車の充電が可能なるのです!

電気代をかけずに電気自動車を充電できるのはすごく便利ですよね。

 

 

【産業用】

災害時も電源確保できる

災害時、停電が発生した場合でも一週間ほどの電気を賄うことができます。

2018年の台風24号による停電は復旧まで最大一週間かかり、2019年の房総半島台風による停電でも最大一週間前後まで復旧しなかった例があり、蓄電池があることでその分の電気を確保できるのは大きいですよね。

 

また、災害時に電気が確保されていると避難所として活用することもできます。

 

節電できる

家庭用蓄電池と同様、電気供給のピーク時間を避けて、供給が少ない時間に蓄電池に電気を貯め昼間にそれを使うことができるため、電気代の節約に繋がります。

 

電力を自給自足できる

太陽光発電などの省エネ設備と蓄電池を連携させることで、施設の電力をほぼ自給自足することができます。

 

 

デメリット

【家庭用】

初期費用が高い

一番のネックは初期費用の高さです。

基本の価格構成は、本体+工事費+保証費+アフターサポート費 です。

 

容量が10kWh前後の蓄電池の相場は160~200万円、10kWh以上のものは300万円近くするものもあります。

導入する場合は各自治体が出している補助金制度を活用しましょう。

 

使える量に限りがある

蓄電池は、容量によって貯められる電気の量が変わります。

しかし、多くの容量を貯めようと思うと高額な蓄電池を買わなくてはいけないので難しいところです。

どのくらいの容量が適切か、しっかり選ぶようにしましょう。

 

また、蓄電池には「蓄電優先モード」「ピークカットモード」など様々な設定があるため、それらの設定をしておけばより効率的な節電ができます。

 

ある程度のスペースがいる

蓄電池は、室内設置型のものでエアコン室外機1台分、屋外設置型のものでエアコン室外機1~2台分の大きさがあります。

そこまで大きくありませんが、空きスペースがないと結構嵩張るかもしれません。

 

また、騒音になるほどではありませんが音がするので、気になる方は屋外に置くといいでしょう。

尚、屋外に置く場合は直射日光・風を避け、通気性がよくホコリや結露のない清潔な場所に置く必要があります。

 

 

【産業用】

導入コストが高い

産業用蓄電池は投資効果が大きいと言われているようですが、その初期費用はかなり高いようです。

詳しい価格は載っていませんでしたが、かなり大きなものなので相当高額でしょう。

費用対効果の面から言うと、導入した方が節約になると思います。

 

補助金はあるが対象が限定的

「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の補助金を利用することができますが、こちらは年間の一次エネルギー消費量がネットでゼロとなる建築物に対して使える補助金なので、対象が狭いのです。

 

この他にも補助金はありましたが、予算に達したなどの理由で応募を締め切っています。

今後も新しく補助金が出る可能性はあるので、こまめに補助金サイトを確認しましょう。

 

蓄電池の種類は4つ

蓄電池の種類は、全部で4つあります。

  • 鉛蓄電池
  • ニッケル水素蓄電池
  • リチウムイオン電池
  • NAS電池

です。

 

それぞれ見ていきましょう。

 

鉛蓄電池

プラス極に二酸化鉛、マイナス極に鉛、電解液に希硫酸が使われている電池。

蓄電池の中で最も古い歴史を持っており、過充電に強い、安定した範囲で放電できるという特徴があります。

また、原価の安い鉛が使われているため電力単価が低く、大電流の放電が可能です。

 

ただし、過放電が発生すると性能が著しく低下して元に戻らないこと、電解液に希硫酸を用いているため破損時の危険性が高いというデメリットが挙げられます。

 

安価なことに加えて歴史の深さから信頼度が高いため、車のバッテリーや非常用設備などに使われています。

 

ニッケル水素蓄電池

プラス極にオキシ水酸化ニッケル、マイナス極に水素吸蔵合金、電解液に水酸化カリウムが使われている電池。

家電量販店などでよく売られている定番の電池です。

 

以前はニカド電池が使われていましたが、使用されていたカドミウムに毒性があることから、人体に悪影響のない材料で作られたニッケル水素蓄電池が登場しました。

過充電・過放電に強く急速充放電が可能です。

放っておくだけで内蔵電力が減少してしまうなどのデメリットがあります。

 

近年はリチウムイオン電池に置き換えが進んでしまっていますが、今でもハイブリッドカーの蓄電部や掃除機、電動車いすなどに使われています。

 

リチウムイオン電池

プラス極にリチウム含有金属酸化物、マイナス極に炭素材料、電解液にファインセラミックスが使われている電池。

ニッケル水素やニカド電池のデメリットであった「メモリー効果」(蓄電池内の容量がまだあるのも関わらず、蓄電池が放電できない状態になってしまうこと)が発生しないことから、頻繁に充放電を繰り返す携帯電話やノートパソコンのバッテリーとして使用されています。

 

ただし、過充電・過放電に弱いため扱いには注意が必要です。

 

NAS電池

プラス極に硫黄、マイナス極にナトリウム、電解液にファインセラミックスが使われている電池。

世界で唯一日本ガイシ株式会社のみが製造しており、充放電効率が高く長寿命、蓄えられる電力量も多いという特徴があります。

 

また、鉛蓄電池の3分の1のコンパクトサイズでもあります。

長期に渡り安定した電力供給ができるため、節電や再生エネルギーの安定化に役立ちます。

 

蓄電池の使い方

蓄電池にはいつくかのモードがあり、それらを設定することで充放電のタイミングや優先度を変更できます。

設定の変更方法はメーカーによっても変わってきますが、基本はホーム画面やメニュー画面で切り替えができるようです。

 

定置型蓄電池には停電時に自動運転モードに切り替わるものもあり、停電中でも特定の部屋または全部屋に電気を供給してくれます。

 

パナソニックの場合、停電になるとアラームでお知らせしてくれて、「自立運転モードに切り替えますか?」と聞いてきます。

「はい」を選ぶと自立運転モードに切り替わり、使いたい電子機器をいつものようにコンセントに繋ぐだけで使うことができます。

 

こちらも、操作方法はメーカーによって変わるのでそれぞれ確認してください。

 

日々の節電、停電時に備えるために導入をすすめよう♪

蓄電池は、平常時の節電になることに加えて災害時にも役立つものです。

家庭だけでなく会社でも採用することで、万が一の時も従業員やその地域の安全を守ることができます。

 

価格が下がってきているこの機会に、導入を検討してみてはいかがでしょうか♪

 

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