新しい働き方の1つとして注目され、環境省でも推奨されている「ワーケーション」。
ワーケーションとはどういうもので、仕事中の管理などどのようになっているのでしょうか。
今回は、そんなワーケーションの基本的な部分をご紹介していきます。
ワーケーションとは
「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語で、旅行先や観光地で仕事をしながら観光や遊びも楽しむという働き方です。
2000年代からアメリカで始まった働き方で、普段長い休暇が取りにくい部署で取り入れると、業務が滞ることもない上に従業員の満足度も高まるため、一石二鳥の素晴らしい働き方だと思います。
仕事を終わらせたら観光地に遊びに行ったり温泉につかったりアクティビティを楽しんだりできる!と思うと、仕事へのやる気も満ち溢れてきますよね♪
テレワークとの違い
テレワークも会社以外の場所で働きますが、自宅やコワーキングスペースなど、日常の行動範囲内にある場所で仕事をする、というものです。
一方ワーケーションは、地方や海外など日常生活とは全く異なる場所で行うものです。
また、テレワーク実施の目的は、作業効率の向上や移動コストの削減ですが、ワーケーションは主に従業員のリフレッシュが目的なので、そこも大きな違いです。
ワーケーションは環境省も推進しており、ワーケーションを実施することで地域活性化やコロナで打撃を受けた観光地の支援、地域社会の閉塞感の解消に繋げる目的のようです。
メリット・デメリット
≪メリット≫
生産性の向上
普段とは異なる場所、旅行先に行くとなると、頭も気持ちもリフレッシュされてやる気や集中力が高まるため、生産性が向上します。
NTTデータ・JAL・JTBが提携して行った沖縄カヌチャリゾートでのワーケーション実証では、自宅から離れた場所で仕事をすることでメンタルの改善・生産性の向上に繋がったという結果が報告されています。
また、「仕事が終われば自由に遊びに行ける」という状況になったら、集中して仕事を早く終わらせようと思うでしょう。
そうすると、いつもより仕事のテンポが早くなったり効率よく作業することができ、仕事時間が短かったとしても結果的に質の高い仕事ができるようになると思われます。
有給取得率が上がる
ワーケーションでは観光地などに行くため、勤務日の前後に有給を取る人も増えるでしょう。
エクスペディアが19か国を多少に実施した有給休暇取得率の調査で、日本の取得率は50%で19か国中最下位という結果だったようです。
このように、日本の有給消化率は世界で比べてもかなり低く問題視されているため、ワーケーションを実施することで従業員が有給休暇を取りやすくなることでしょう。
従業員満足度が上がる→離職率低下
ワーケーションは仕事をしながらリフレッシュができるため、導入されたら喜ぶ人が多いでしょう。
さらにワーケーションの実施を上司から勧めてくれたら、従業員満足度もあがり、離職率も低下すると考えられます。
休暇前後に仕事を詰め込む必要がない
普通、休暇中にできない仕事を休暇前に早めに終わらせたり、休暇後に、休暇中に溜まった仕事を片付けるものですよね。
しかし、ワーケーションであれば休暇中に仕事が出来るため、案件に関してそわそわしたり、休暇前に仕事のスケジュールを詰め込む心配がなくなります。
仕事を終わらせてせいせいした気持ちで遊びに出かけられるのはすごくいいですよね。
休暇後も仕事が溜まらないので、それを理由に休暇を取りづらいなることもありません。
長期休暇がとれる
技術職など毎日必ずやらなければいけないことがあり、長期休暇が取りづらい職種の方もいますよね。
そういう人たちには特にワーケーションはおすすめです。
休暇場所でその日の仕事を終わらせてから遊びに行けるので、他の人に迷惑をかけずに長期の休暇を楽しむことができます。
≪デメリット≫
仕事に集中しにくい
いつもと違う場所で仕事をすると集中できない人もいます。
また、休暇先に行くことで気持ちが浮ついてしまい、仕事に身が入らない人もいるでしょう。
テレワークに慣れていない人が突然ワーケーションを行うと、仕事の効率が下がってしまう可能性もあります。
仕事環境を整える必要がある
Wi-FiやVPN・ノートパソコンの支給など、会社側はワーケーションを行うためにインターネット環境へのコストがかかります。
会社の大事な情報を社外で取り扱うため、情報漏洩や不正アクセスをされないためにセキュリティ環境を整えたり、端末を紛失した際の対応なども考えておかなければなりません。
ワーケーションを行えるホテル・旅館との提携も視野に入れると、会社側でやることがたくさんあるのです。
完全にオフモードになれない
ワーケーションでは、遊びの前に仕事を終わらせる必要がるので、完全な休暇モードに入れないのがデメリットです。
朝は所定の時間に起きて仕事をする必要があると思うと、普通の休暇中よりも気を休める時間が短く、逆にストレスを感じてしまうかもしれません。
仕事が終わった後は、緊急の時以外その人の携帯に連絡をいれないなどの周りの気遣いも大事になります。
管理をしっかりする必要アリ
別の場所で仕事をする場合、仕事中の管理も重要です。
朝礼と終礼はもちろん、その日の成果・進行状況などを報告してもらうようにし、離れた場所にいても仕事状況を把握できるようにしておきましょう。
セキュリティ対策も必要
ワーケーションでは、自宅やワーキングスペースのようなセキュリティがある程度整っている場所ではなく、カフェや旅館内・外など様々な場所で自由に仕事ができます。
そのため、情報漏洩しないようにセキュリティ対策を万全に行う必要があります。
PCの盗難対策・VPNへの接続・ウイルス対策ソフトの導入など、できる限りのセキュリティ対策を行うようにしましょう。
どういう職業が向いている?
ワーケーションの実施に向いている職業・職種はどんなものでしょうか。
それは、
- デザイナー/エンジニア
- 企画職
- マーケター/ディレクター
- ライター
などの、パソコンが1台あれば仕事ができる職種が向いています。
企画職も、普段とは全く違う場所で仕事をすることで脳が活性化され、新しいアイディアが浮かびやすくなると思うのでおススメです。
ライターは、新しい記事を更新していかなければならないので長期休暇が取りにくいですが、これなら更新を行いながら長期休暇も取れるので安心して遠出することができます。
やはり、営業職やサービス業などのその場に赴かなければいけない仕事にはワーケーションは向いていません。
実施できる職種が限られてしまうのは残念ですが、ワーケーションを社内で導入する場合、ワーケーションができない部署には別の形でリフレッシュ環境を与えるようにしてくださいね。
企業・自治体の取り組み事例
では、企業や自治体のワーケーション例を見ていきましょう。
和歌山県のワーケーション
和歌山県は、他に先駆けて2017年からワーケーションを推進しているそうです。
観光地として有名な白浜は、Wi-Fiを無料開放するなど通信環境が整っている上にきれいな海や遊びが充実しているので、ワーケーションにピッタリな場所です。
そのため、県も「白浜ワーケーション」としておススメしているようです。
長野県のワーケーション
長野では、「信州リゾートテレワーク」という信濃町や軽井沢町、白馬村などといった場所で仕事を行う新たなライフスタイルを提案しているそうです。
リゾートテレワークの環境を設備する企業には県から助成金を出すなど、地域活性化のために積極的なようです。
長野は自然豊かで人気の県なので、ワーケーションに向いていますよね。
日本航空株式会社(JAL)
JALは、2019年からワーケーションを取り入れ始めたそうです。
休暇先でPCにログインして仕事をすることで、勤務日とみなされます。
そこから派生して、「ワーケーション」を含んだツアープランの販売も開始されました。
人事担当の東原さんは、ワーケーションは地域の人と一緒に何かを生み出すことができ、地域活性化に繋がると考えているようです。
JTB
JTBでは、2019年4月から2020年3月末までハワイでテレワークができるという「ワーケーション・ハワイ」を実施したそうです。
働き方改革が順次施行されることを受け、有給休暇取得の促進や、長期休暇によるワークライフバランスの充実などを目的に、今回ワーケーションの実施に至りました。
ハワイの仕事場は、ワイキキビーチを一望でき、広々とした空間で働くことができる環境が整っているそうです。
そんな非日常な場所で仕事ができたら、刺激を受けて新しいアイディアもたくさん生まれそうですね!
三菱UFJ銀行
(画像出典元:三菱UFJ銀行のFacebook)
三菱UFJ銀行は、2019年からワーケーションを実施しています。
三菱UFJ銀行は、2018年に全国6か所にサテライトオフィスを設けるなど、テレワークやリモートワークに積極的です。
ワーケーションにおいては、軽井沢町にある自社施設内においてワーケーション施設を新設しているそうです。
軽井沢にあるオフィスは森の中にあり、自然を感じながら集中して仕事に取り組める場所として従業員にも評判が良いようです。
こういった取り組みを通して、生産性の向上やリフレッシュを与え、お客様により良いサービスを与えられるようにしています。
国立公園キャンプ場
環境省では、国立公園でのワーケーションを推進しているようです。
コロナの感染リスクが少ない国立公園のキャンプ場は、広々としていて自然を楽しみながら仕事ができます。
仕事が終わったらキャンプを楽しんだり、自然体験アクティビティを楽しむこともできてワーケーションにピッタリな場所なのです。
仕事がしやすいように電波やネット環境もしっかり設備されていて、シャワーやコインランドリーもあるため、宿泊にも持ってこいの場所です。
ワーケーションができる国立公園はいくつかあるので、近場を選べるのも行きやすくていいと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、テレワークなどと並ぶ新しい働き方「ワーケーション」をご紹介しました。
このような制度が会社にあったらぜひ使ってみたいですよね。
仕事をしっかりしながら休暇も楽しめるなんて、かなり快適だなと思います。
休暇後にやることが山積みになることもないので、安心して長期休暇が取れます!
企業で実施しようとしている場合は、デメリットや環境設備についてしっかり検討した上で行うようにしてくださいね!
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