最近注目度が上がり、国内外でサービスが増えてきているMaaS。
今回はMaaSがどういったものなのか、MaaSによってどんなメリットが得られるのかを説明していこうと思います。
MaaSとは
MaaSとは、「Mobility as a Service」の略で、情報通信技術を用いて様々な公共交通とその他サービスを組み合わせて検索・予約・決済をシームレスに行うためのサービスです。
交通サービスは、
- 電車
- タクシー
- バス
- レンタルサークル
- レンタカー
- 旅客船
- 飛行機
などを指します。
MaaSの活用により都市や地方が抱える交通サービス利用の課題を解決することを目的としており、国土交通省は、MaaSの全国的な普及を進めるために実証実験や交通情報のデータ化の支援を行っているようです。
MaaSはどのように生まれたのか
MaaSの概念はフィンランドで生まれました。
フィンランドのサンポ・ヒエタネンさんが2006年に発案したアイデアを基に2014年にMaaSの概念が発表されました。
その後一年後、首都ヘルシンキに設立されたMaaS Global社が世界初のMaaSスマートフォンアプリ「Whim(ウィム)」を開発し、それがMaaSのパイオニアと言われています。
ヒエタネンさんは現在MaaS Global社のSEOを務めており、世界中にMaaSが普及するように開発を続けているようです。
「Whim」は、2つの月額プランと都度決済の3プランがあり、それらによって得られるポイントでWhimと提携している交通経路から最適なものを選択し、予約・乗車・決済まで一括して利用することができます。
アプリの画面を提示するだけで指定した交通機関を利用できるため、よりスムーズな利用ができます。
MaaSの普及率
海外では普及が進んでおり、世界市場規模は33億ドル、2030年には401億ドルになると予測されており、市場の平均成長率は32.1%になるそうです。
しかし、日本ではレベルの高いMaaSサービスがほとんど存在せず、まだまだ広まっていっていないようです。
移動を楽にするためにも、MaaSが普及するような環境を作るよういかに国が支援してくれるかがカギとなります。
MaaSで何が変わる?普及のメリットとは
MaaSが普及することで、どんなメリットを得られるのでしょうか。
確認していきましょう。
混雑緩和
今日本では電車通勤が一番多いため、出勤・退勤時間の混雑が目立ちます。
通勤・退勤の電車移動で疲れてしまうという人も多いのではないでしょうか。
MaaSが普及すれば移動手段は電車だけでなくタクシーやバスなども選択肢に入るため、電車だけが混むこともなくなり、出勤・退勤時の移動のストレスも緩和されることでしょう。
地方でも移動しやすくなる
地方は都会に比べて交通手段が少なく、自家用車がないと生活できない場所がほとんどでしょう。
しかし、車は税金がかかったりメンテナンスが必要だったりと、独身が持つにはなかなかお金がかかります。
そんな地方でもMaaSが普及すれば、交通の不便さが払拭されて住みやすくなることでしょう。
最近はテレワークの拡大により地方への移住者が増えているため、交通の不便さがなくなればもっと地方活性化に繋げることができます。
高齢者の移動手段が広がる
高齢者による自動車事故が問題視されており、70歳前後には運転免許を返納することが推奨されています。
しかし、地方に住む高齢者は車がないと生活ができないという人も多いため、返納したくないと思うのも当たり前だと思います。
MaaSが地方でも普及して交通機関が使いやすくなれば、高齢者の方々も安心して免許返納ができるようになります。
移動データを地域活性化に活用できる
MaaSによって膨大なデータが蓄積されるようになり、輸送サービス企業の競争率を高めたり、取得データを分析してユーザーの好みや傾向に合わせたサービスを提供することができるようになります。
公共機関がよく利用されている場所のデータから、バスの停留所を増やしたり不採算路線を見直して公共交通の運営を効率化したりすることができます。
MaaSが普及することで、公共交通サービスの改善にも繋がるのです。
移動手段とサービスを組み合わせられる
移動手段とその他サービス(観光チケット・物流・医療・小売など)と繋げることで、よりサービスが利用しやすくなります。
MaaSの課題
法律の壁がある
MaaSを普及させるには、シェアサービスなどを盛んにさせる必要があります。
しかし日本では、自家用車に有料で他人を載せることは道路運送法により禁止されていますし、バスは事前に届け出たルートでしかバスを運行することができません。
ライドシェアなどでもっと柔軟な交通機関の利用ができないと、MaaSのメリットが生かせません。
MaaSを国内で普及させるためには、法律を変えていく必要があるのです。
地方は交通機関が弱い
都会より地方の方がMaaSの需要がありそうですが、地方の過疎が進んでいる地域では交通機関自体が廃れており、電車もバスもタクシーも少ないのが現実です。
交通機関自体が少ない状況でMaaSを導入しても、利用の不便さはあまり変わらないと考えられます。
地方でMaaSを普及させるためにも、そもそもの交通サービスを改正していく必要があります。
収集データのオープン化
各機関の運行状況や時刻表など、リアルタイムで知ることができないとMaaSを上手く活用していけません。
そのため、業種や企業の垣根を越えてデータをオープン化する必要があるのです。
データのフォーマットを揃え、各自で管理しているデータを連携していけるよう企業が協力することが重要です。
移動以外の付加価値をつける必要がある
都会では、価格や利便性を考えて電車が一番使われています。
一定水準の移動手段が確立している日本でMaaSを普及させるためには、MaaSの利用で利用料金が安くなったり、ポイント制にして溜まったポイントを様々な場所で利用できるなどの付加価値がなければ利用者が増えていかないと考えられます。
また、支払方法もクレジットカードだけでなくスマホ決済ができると導入ハードルがグッと下がることでしょう。
参考になる!国内外のMaaS事例4選
ここでは、現在生まれているMaaSのサービスを紹介していこうと思います。
ぜひ参考にしてください。
【日本】東急の「伊豆navi」
スマホ1つで伊豆旅ができるスマートフォンアプリ。
画面を見せるだけで電車やバスに乗車できるデジタルフリーパス、観光施設の割引チケットや食事・体験チケットがキャッスレスで購入・決済・利用できるサービスです。
伊豆への旅行がより気軽になるだけでなく、乗車時の切符購入やチャージの手間がないので移動がスムーズなのも魅力です。
画面もシンプルで見やすく、予約もしやすいです。
【日本】トヨタの「my route」
公共の交通機関・タクシー・サイクルシェア・船・飛行機などのあらゆる移動手段とトヨタレンタカーやトヨタシェなどのトヨタが提供するサービスを組み合わせたサービス。
ルート検索からチケット購入・支払いまでアプリ1つで完結でき、移動中も近くの観光地や飲食店を教えてくれます。
【シンガポール】モビリティX社の「Zipster」
公共交通機関はもちろん、オンライン上の配車サービスの「Grab(グラブ)」「GOJEK(ゴジェック)」、自転車シェアリングの「Anywheel」、電気自動車シェアリングの「BlueSG」など、あらゆる移動手段を組み合わせた最適な経路を提案してくれます。
2019年には小田急の「MaaS Japan」とデータ基盤を連携するなど、日本との関係も深いサービスとなっています。
Zipsterアプリ上のマーケットプレイス欄では、連携サービスのクーポンや損害保険なども提供されているようです。
【ドイツ】ドイツ鉄道の「DB Navigator」
ドイツ鉄道はMaaSにいち早く着手しており、2009年にDB Navigatorをリリースしています。
機能は他のものと同じですが、大将エリアの拡大・他交通事業者による公共交通の予約・決済機能を備えるなど、機能の拡充に力を入れています。
現在、検索可能エリアはユーラシア大陸全土に渡り、予約・決済機能はドイツ国内や近隣諸国の一部で可能なようです。
公共交通が主ですが、カーシェアなども利用可能になっています。
アプリの利用者は1日あたり300万人を突破し、チケット販売数も10万人を超えているそうです。
まとめ
このように、国内外でMaaSの普及は進められています。
海外はライドシェアサービスも利用対象なのに対し、やはり日本は公共交通がメインとなっています。
タクシーなども今提供されているMaaSに組み込まれれば、もっと移動しやすくなることでしょう。
法改正や地方の交通機関の改正が行われ、MaaSが国内に広まっていくことを心待ちにしています。
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